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記事2002年5月23日 号 (2面)
中央教育審議会の基本問題部会(部会長=鳥居泰彦・日本私立学校振興・共済事業団理事長)は、五月十日、都内のホテルで第七回会合を開き、教育基本法の本格的審議を開始した。 同部会は二月八日に初会合を開いて以降、「教育振興基本計画」についての審議を先行してきた。前回までの部会で同計画の課題がほぼ出尽くしたと判断、昨年十一月の文部科学大臣による諮問の際、一年を目途に審議のとりまとめを求められており、残る時間も少なくなってきたことから、審議を教育基本法の見直しに移したもので、教育基本法をめぐる本格的な審議は今回が初めて。 この日は教育の基本理念を中心に議論したが、委員の意見は、ゼロの状態から話し合うのではなく、「現在の教育基本法に欠けている点を補うべきだ」「現行の教育基本法を建物としたら、増改築の方がよい」「教育理念的なものはこれまでのさまざまな審議会答申等に盛り込まれている。どう収れんするかだ」などが大勢を占めた。五月二十三日の次回会合では教育基本法に関して学校の役割を中心に討議する予定。 こうした背景には「こうした時代に一億二千万人がこれで行こうという心のよりどころはあるのか。発想を変えて高邁な人間の理想などは置いておいた方がいい」など不毛なイデオロギー論議に陥ることだけは避けたいという思いがほとんどの委員にあり、また教育を法律で縛ることへの懸念も働いているようだ。 今後は、これまでに各種審議会の答申等で出された問題点や教育理念をどう整理するかが焦点となるが、木村孟副部会長が、「現行の教育基本法は高すぎる(高邁すぎる)。もう少し分かりやすいものにすべきだ」と指摘するように、より具体的で分かりやすい教育基本法を目指す方向だ。 |
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