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記事2002年9月23日 1860号 (7面) 
新私学部長に聞く 東京都生活文化局私学部 部長 中澤 正明 氏
私学が公教育に大きな役割
学校、保護者への補助中心に
個性ある独自の教育更に質的向上へ


東京都生活文化局私学部部長に中澤正明氏がこのほど就任した。就任に当たり、都の私学助成に対する基本的な考えや、東京私立中学高等学校協会が導入を発表した「到達度診断テスト」についての考えを伺った。


―東京都は私学助成を都の重要課題の一つとして位置付けられていますが、私学助成に対して部長の基本的なお考えをお話しください。
 中澤部長 私学助成は(1)教育条件の維持・向上(2)教育費保護者負担の軽減(3)私学経営の健全性の確保という三つの目的からなっており、私学は公教育の一翼を担い、都民の教育に極めて重要な役割を果たしていると思っています。重要な役割とは量的な面はもとより、質的な面でもという意味です。都財政は厳しく、私学助成は毎年一〇%カットなどと言われてきましたが、確かに絶対額は減少していますが、都予算全体に対する私学助成の割合からみると、その位置が下がっているとはいえません。私学助成の重要性という位置付けは変わっていないと思っています。
―私学助成についての展望あるいはあり方については。
 部長 都の私学助成は性質に着目した場合、学校に対する補助、保護者に対する補助が中心です。全体的にさらにうまく組み合わせて、効果的な補助を考えられないだろうかと思っています。より私学が満足するような助成のあり方が必要ではないでしょうか。
―先ごろ、東京私立中学高等学校協会が私立高校推薦入試について、「到達度診断テスト」の導入を打ち出しました。これについてどのような認識をお持ちですか。
 部長 推薦入試と一般入試はほぼ同数で、中学から高校へ持ち上がりを含めると、約六万二千人が私立高校へ入学しています。推薦入試をどうするかは、私学にとっては大きな問題であり、受験生にとっても一層大きな問題です。
 新学習指導要録に基づくいわゆる絶対評価については、私は生徒指導について有効であると思いますが、このとらえ方については、今の段階では見えない部分があります。推薦入試も入試である以上、競争であり、横の軸で見ていく部分があると思います。この見方については、いろいろ手法があると思います。
―何かよい方法は。
 部長 個人一人ひとりの能力をどう評価するかという絶対評価を縦の軸とすれば、個人の能力を全体の中で見るという横の軸が相対評価だと思います。入試においてどのような軸が必要かなどを考えるのは各学校です。協会は十四年度中に詳細を発表されるようですが、これが受験生にとって大事な問題であるという点を念頭に置いて、取り組んでほしいと思います。
―私立学校に対して要望などがありましたら、お願いします。
 部長 現在、少子化で各私学は経営の面で厳しいことは分かっております。十五年ほど前と比べると、子供の数は半分に減っています。私学は建学の精神の下に、個性ある独自の教育を行っていますが、いろいろな面で特に質的な向上を図ることで、厳しい状況を乗り切ってほしいと思います。
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