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記事2004年12月23日 1964号 (1面) 
学力低下踏まえ学習指導要領見直しへ
「義務教育特別委」新設決定
中教審総会
中山成彬・文部科学大臣は十二月十七日、都内で開かれた中央教育審議会(鳥居泰彦会長=日本私立学校振興・共済事業団理事長)の総会の席上、近く同審議会に自らの問題意識を示した上で、学習指導要領の本格的見直しを諮問する考えを明らかにした。
 これは今月発表された経済協力開発機構や国際教育到達度評価学会の国際的学力調査でわが国の児童生徒の学力低下傾向が明確になったことや学習に対する意欲が必ずしも身に付いていないこと、社会経済情勢の変化などを受けたもの。また義務教育制度、教育委員会制度、全国学力調査、学校評価など義務教育の在り方の全般について省としての検討体制を整えるために塩谷立・同副大臣を本部長として、副大臣、大臣政務官、文部科学審議官、関係局長等からなる義務教育改革推進本部を設置、検討を開始することも明らかにした。
 三位一体の改革では、政府・与党は、義務教育における国と地方の費用負担の在り方などについて平成十七年秋までに中教審で検討、結論を得た上で決定することにしており、中教審もすでに検討を開始しているが、この日の総会では、義務教育に関する重要事項を調査審議するため、新たに総会直属の組織として「義務教育特別委員会」を設置することが提案され、了承された。
 具体的には義務教育の目標、機会均等・水準確保のための義務教育制度の在り方、義務教育制度の根幹を担う国の責任・役割の在り方、地方分権時代における国と地方の役割・関係の在り方、学校の管理運営、教育委員会の在り方、義務教育における教育条件整備、義務教育に係る費用負担の在り方などが検討される見通し。
 この日の総会では鳥居会長がまとめた義務教育の在り方に関する検討の論点(試案)を提示、さらに追加すべき事項について委員から意見を求めた。会長試案では義務教育の目的については、個々の国民の人間形成、国家・社会の形成者育成(すべての国民に上質な教育を均等に確保)としており、また義務教育で育成すべき資質・能力では、(1)健やかな体、運動能力、たくましい精神力(2)社会規範、道徳(3)学習の仕方、学習の習慣(4)基礎的な知識・技能(5)応用力、抽象的に理解・思考する力を挙げている。
 検討すべき事項としては、義務教育の目標の明確化、制度の弾力化、義務教育制度の根幹を担う国と、地域の教育を担う地方のそれぞれ役割・責任、教育活動の評価・公開、全国学力調査の実施、教員養成・免許制度、教員の人事・給与制度の改善、学校と家庭・地域との連携・協力などを挙げている。
 この会長試案について委員から反対の意見はなく、これとは別に、「各都道府県の教育への予算のかけ方の違いが児童生徒の学力や体力、問題行動の発生率などとどう関係しているのかを国民にわかりやすく示してほしい」「義務教育がその後の人生にどのような影響を与えたのかの大規模な調査を行ってほしい」などの意見が出された。

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