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全私学新聞

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記事2004年5月3日 1932号 (2面) 
地域別私学助成単価
中高連・16年度都道府県別調査結果
高校 11県で前年度比補助単価減
中学 三分の一の県で標準単価下回る
 各都道府県の平成十六年度当初予算における私立高等学校等経常費助成の生徒等一人当たり単価が、四月十三日までに日本私立中学高等学校連合会(田村哲夫会長=渋谷教育学園理事長)の調査で明らかになった。愛媛県のみ未定。

 調査結果によると高校(全日制・定時制)では、十一都道県で前年度に比べ補助単価が減額され、とりわけ埼玉県と千葉県ではそれぞれ前年度に比べ九・八%、七・九%と大幅削減された。このうち埼玉県は私立学校への機関助成を減額、その一方で保護者に対する直接助成を増やしているが、千葉県は生徒一人当たり約二万三千円という大きな減額となった。昨年の十五年度予算では前年度に比べマイナスとなった自治体は高校の場合、三県に過ぎなかったことを考えると、今年度は私学助成を減額した自治体が大きく増えたことになる。
 各都道府県は文部科学省の私立高等学校等経常費助成費補助金を核に地方交付税措置を加えた財源等で私学助成を行っている。その際、最低ラインと考えられているのがいわゆる「標準単価」(高校二十八万四千六百八十二円‥中学校二十七万七千五百六十六円)。
 大半の県では私立学校が県教育で大きな役割を果たしていること、公立学校では生徒一人当たり百万円を超える公費が使われていることなどから標準単価に数万円を上乗せして助成を行っているが、千葉県と埼玉県では国の標準単価を下回る状況だ。しかし標準単価を下回らなくてもその他の三十二自治体では標準単価を上回る額が前年度に比べ減額している。
 さらに義務教育段階である中学校の私学助成に関しては、高校より厳しい状況で、前年度に比べて補助単価が減額となったところは五県だが、国の標準単価を下回っている自治体は十八府県、同額が十二道府県にも達する。昨年の十五年度予算では下回っているが十五、同額が十三だった。
 今年度、私学助成に厳しい査定を下した自治体が増えた背景には、政府の「三位一体の改革」の影響が考えられる。国庫補助負担金や地方交付税措置の削減が実施されたものの、それに見合う税財源の移譲が国から都道府県に行われなかったことから、各都道府県は厳しい予算編制を余儀なくされた。三位一体改革の行方は不透明だが、各都道府県は借金の返済等に追われており、私学助成にとってはなお厳しい状況といえる。

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