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記事2004年5月3日 1932号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向
一般と専門職学位の関係明確化
大学院機能強化も検討

【大学院部会】

 中央教育審議会大学分科会の大学院部会(部会長=中嶋嶺雄・国際教養大学長)は、四月二十八日、東京・千代田区の経済産業省別館で第十八回会合を開き、大学院の機能強化に向け今後審議すべき事項を検討した。大学院部会開催は約半年ぶり。委員による討議では、人文社会、教育分野の博士号授与率が低調なこと、人文社会系の就職率の低さなどの問題のほか、専門職大学院や通信制等の大学院が抱える問題点やそれに絡んで早急な大学院評価の確立の必要性等が指摘された。
 同部会では五月中旬の次回会合を含め今後六回程度部会を開き、八月上旬に審議の概要をまとめ、大学分科会での高等教育のグランドデザイン作りに検討結果を反映させていく方針。審議の過程では産業界等から意見聴取する。八月上旬までにあまり時間がないことから審議の概要は、課題の整理にとどまる可能性もある。また各大学院の実態等も調査する予定。
 この日の部会では、初めに文部科学省から同部会で今後審議すべき事項の整理案が提示され、修了者数や進路など大学院の現状が報告された。
 検討すべき事項整理案は、(1)大学院をめぐる動向(2)大学院の教育・研究機能の発揮(3)学位授与(4)大学院評価の早期確立(5)その他の重要事項――で構成されている。
 このうち、(2)の大学院の教育・研究機能の発揮では、大学院の教育・研究機能の基本的整理、課程制大学院の趣旨に沿った教育課程や研究指導の確立、研究者養成機能の充実が、(3)の学位授与では、一般学位と専門職学位の関係の明確化、留学生を含め学位授与の促進、論文博士制度の見直し・整理、他機関と連携による学位授与の拡大が挙げられている。専門職大学院等に関して、委員から、「博士課程を創りたいとの要望が出ている。しかし日本の大学院システムがあいまいになってしまう」「専門職の細分化で専門学校との違いがはっきりしない。大枠がないと問題をきたす」「専任はフルタイムと考えていたが、株式会社立の専門職大学院では週一回でも専任ということがあるようだ。定義を明確にすべきだ」「通信制等の大学院が安易な形で認可されている。通学制の大学院と同レベルなのか。大学院評価の早急な確立が必要だ」といった意見が出された。

インターネット大学院大学等の新設
設置基準規制受けずに設置

【大学分科会】

 中央教育審議会の大学分科会(分科会長=佐々木毅・東京大学長)は四月二十三日、都内で第三十四回の会合を行い、構造改革特区においてはインターネット大学院大学等を設置する際、大学設置基準等による数値の規制を受けずに設置できるようにする旨の答申などを行った。
 この日、河村建夫文部科学大臣からの諮問が文部科学省から示され、協議した結果、構造改革特区においては、インターネット等のみを用いて授業を行う大学院大学、通信制のみの大学教育課程について、特に教育・研究に支障がないと認められる場合、大学設置基準等の規定にかかわらず、設置できるようにすること、と答申した。
 また、三月に国際的な大学の質保証に関する調査研究協力者会議から示された審議のまとめについて、文部科学省から説明があり、意見交換が行われた。これについては、「日本の学生が外国の大学に留学する場合の学位互換性等(出て行くものについて)の問題と、外国大学の日本分校をどのように位置づけるか(入ってくるものについて)の問題を分けて、審議すべきだ」と指摘する委員もいた。今後は、現在審議中のグランドデザインの一つの柱として、審議を継続する見込み。
 さらに、大学分科会の今後の審議の進め方の案が文部科学省から示された。大学分科会は、グランドデザイン全体などについて、六月以降も審議を続け、七月か八月には中間報告案を取りまとめて公表し、ヒヤリングを行った上で、十二月か一月に、取りまとめて公表する予定。制度部会では、短期高等教育の位置づけ、各種教育機関の使命・役割や、学位制度と大学制度の関係などを必要に応じてワーキンググループを設けるなどして、七月までにまとめて大学分科会の審議に反映させる予定。大学院部会は、大学院の新たな方向性や、大学院の教育・研究機能の充実方策などについて検討し、七月以降大学分科会の審議に反映させる予定。大学の教員組織の在り方に関する検討委員会は、助教授・助手等の在り方、講座制等の教員組織の在り方について、五月から六月に論点の整理及び検討を行い、大学分科会の審議に反映し、九月から十一月には引き続き検討を重ねて、取りまとめ、大学分科会の審議に反映していく予定。

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