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記事2004年5月3日 1932号 (1面) 
17年4月実施、私立学校法改正案が今国会で成立
財務情報の公開義務化 今年7月にも通知
学校法人管理運営機能を強化
私学審委員選任など知事に全面的に委ねる
 衆議院を通過し参議院で審議中だった「私立学校法の一部を改正する法律案」が四月二十八日の本会議で可決・成立した。両院を通じて全会一致での成立となった。来年四月から実施。これにより学校法人制度の理事・監事・評議員の権限・役割分担が明確化されるなど管理運営機能が強化され、また財務情報公開が義務化される。さらに私立学校審議会の委員選任が各都道府県知事に全面的に委ねられることになる。文部科学省は今後、改正法施行に当たっての留意点や細かな点等を定めた省令等をまとめ、七月に各学校法人に通知、九月には説明会を開く予定。

 今回の私立学校法の一部改正は、学校法人が社会の急激な変化の中でさまざまな課題に主体的・機動的対応を可能とするものだが、一部私学の不祥事や、株式会社の教育参入といった構造改革が見直しの背景にあった。また私学審に関する改正は、これまで詳細に規定していた委員の資格、構成割合、推薦規定等を廃止し、地方分権推進の観点から知事に全面的に委ねるものだが、その背景には教育分野の株式会社等への市場開放を迫る規制改革論者等の強い圧力があった。
 今回の改正のうち学校法人の管理運営機能の強化では、理事に関して▽学校法人の業務に関する最終的な決定機関が理事会であることを明確化する▽代表権は原則として理事長が有する▽理事のうち一人は外部理事を選任する。監事に関しては、▽職務に監査報告書の作成、理事会、評議員会への提出を加える▽監事のうち一人は外部監事を選任する▽監事は評議員と兼職してはいけない。評議員に関しては▽理事長が毎年度事業計画及び事業の状況を評議員会に報告することなどを定めている。財務情報公開に関しては、財産目録、貸借対照表、収支計算書、事業報告書等の閲覧を義務付けているが、閲覧に供する書類の雛形や小規模法人への配慮の内容などは今後決定される。今回の私学法改正案に関しては、私立学校関係者から財務情報の公開に関しては、借入金の額や生徒等の入学状況等といった情報を悪用されるケースを懸念する声や、私学審議会の委員選任等を知事に全面的に委ねてしまうことに、また私学振興がないがしろにされるのではないかといった懸念が聞かれた。
 改正法を実施するに当たって詳細は今後、定められていくが、私学が社会的な使命は果たしたうえで、そうした不安の声をどれだけ解消できるかが焦点となる。

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