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記事2006年11月13日 2048号 (3面) 
ユニーク教育 (164) ―― 松徳学院中学・高等学校
国際的視野に立って生き方考え
体験から心育てる福祉教育を

庄司校長

 松徳学院中学・高等学校(庄司肇校長、島根県松江市)は、二〇〇五(平成十七)年度から学校週六日制の実施、男女共学の中高一貫校としてステップアップした。松徳学院は一八七一年にスペインで創立されたカトリック修道会イエズス孝女会を母体としている。一九五六年、四月松徳女学院中学校を創立し、五十年目に当たる二〇〇五年に校名を現在の校名に改称した。キリスト教の精神に基づいた人間を育てることを建学の精神とし、この精神に基づき、社会に貢献できる人材を育成することを教育目標としている。
 「本校はミッション校の伝統として、単に進学だけではなく、国際的視野に立って、生き方を考えさせる方針で特色を出していこうと思っています」と、河上隆一教頭は二つの大きな特色教育を挙げた。それは、(1)「話せる、身につく国際教育」と、(2)「体験から、心を育てる福祉教育」の二つだ。これらの特色教育は、いずれも国際的視野から生徒一人ひとりが自分の生き方を考えるという実践教育の表れである。
 (1)については、世界十二カ国・百六校の姉妹校との異文化交流体験を中心に、海外研修や留学制度を取り入れている。中学三年では、全員参加でオーストラリア語学研修を、高校では、希望者がフィリピンの姉妹校訪問や、福祉教育の実践の場としてマザーテレサの孤児院たちと交流を行う。
 「フィリピンにある、貧しい子供たちが通う学校や、一方で、裕福な子供たちが通う学校との交流を通して、生徒たちはそのギャップを体験します。生徒たちは言葉では表現できないが、態度で示しているという意味で、生徒たちに『平和をもたらす使節団』という名前をつけてくれました」(河上教頭)。
 また、(2)については、キリスト教精神を土台に人々の幸せを願い、互いに助け合う心を学ぶために、老人ホームや障害者施設の訪問、地域でのボランティア活動、赤い羽根共同募金・あしなが募金活動など、多数の生徒が積極的に参加している。生徒会はフィリピン姉妹校へ学費援助のため、募金活動を行っている。これによって、毎年十五人程の学資援助が可能となっている。
 ボランティア活動を通して、人と交流することの大切さを学び、福祉方面への進路を実現したいという希望を持った生徒も現れている。また、カリキュラムの点では、高校二、三年の選択科目である芸術・専門・就職クラスに「社会福祉」がある。福祉系科目を履修すると、ホームヘルパー三級の取得ができる。
 進学の面でも一層力を注いでいる。週六日制を実施したことにより、国公立への進学実績を伸ばすための授業時間数が確保できた。高校では、三年間同じクラスで、英語、数学を中心に高いレベルの学力を身につけ、国公立大学などを目指す「アドバンスコース」と、私立四年制大学・短大クラス、芸術・専門・就職の進路選択を二年次に決定する「グローバルコース」を設定している。「毎日七限授業、および土曜日の四限授業を行っています。全国模試で、入学した時点の成績とそれ以後の成績とを比較すると、着実に力をつけていることが分かります。丁寧に指導して、生徒の進路を実現していこうという方針が、少しずつ浸透してきていると思っています」と、河上教頭の顔がほころんだ。


老人ホームでの交流会

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