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記事2006年3月13日 2015号 (8面)
ユニーク教育 (153) 女子美術大学付属高等学校・中学校
日中国際交流記念「友好の美 展」
美術を通して相互理解深める
入江校長 | 第二回目となる日中国際交流記念「友好の美展」が昨年、十一月十四日から二十六日まで、女子美術大学付属高等学校・中学校(以下、女子美、入江観校長、東京都杉並区)で開催された。この「友好の美 展」には中国北京・中央美術学院附属中等美術学校(以下、附中)の生徒の作品二百八十点が展示された。十一月十四日には、附中の生徒五人と教員六人を招き、女子美で「友好の美展」の開幕式が行われた。 入江校長は開幕式のあいさつの中で「十五年ほど前に附中を視察し、生徒のひたむきな姿勢に感銘を受けた。美しいものを愛し、求めるという共通の基盤に立って、お互いの長所を見つけ合い、友好関係を堅実に築いていきたい」と、「友好の美展」実現への喜びの気持ちを述べた。 また、来賓の一人である、日本中国文化交流協会(同展協力)の栗原小巻代表理事は、「作品を通して伝えられるいのりに耳を傾け、作品を心の目で鑑賞したいと考えています。日中のお互いの国民を尊敬し合うという文化交流の火は絶えない。平和と友好のたいまつを永遠にともしていきましょう」と呼び掛けた。 「友好の美 展」は第一回目が平成十六年に附中で行われ、女子美中高の生徒の作品二百三十八点が中国に渡り、日本の美術教育の状況や生徒たちの作品に強い関心が寄せられた。昨年が女子美で行われ、今年は女子美の教員が一カ月間、附中で研修する。研修する教員は美術関係に限定しないで、希望者を募るという。また、来年は附中の教員が一カ月間、女子美で研修を行うことになる。このように教員同士の交流も積極的に行っていく方針だ。 女子美は「わが国の文化に貢献する有能な女性を育成する」という教育理念を掲げ、大正四年に女子美術学校付属高等女学校として開校された。この教育理念は現在まで連綿と受け継がれており、わが国の文化を担う、自立した有能な女性を各界に輩出している。女子美の「友好の美 展」にかける思いも力が入っている。 開幕式後、訪日団一行は、女子美の生徒との座談会への参加、全校生徒の前での講演会、そして、東京・上野の国立博物館での絵画鑑賞など、四泊五日の慌ただしいスケジュールをこなした。一方、女子美では「友好の美 展」について生徒座談会や講演会を行った。 「女子美の生徒たちは附中の生徒との交流を通して、両校の作品の違いや生活の違いなどについて刺激を受け、素晴らしい機会となったようです」と、国際交流委員会担当の遠山香苗教諭は交流の成果を語る。 また、国際交流についての意識を高めるため月に一回、希望者を対象に中国語講座を開講したり、昼休みには中国の音楽を時々流したりしている。 女子美は中学では、絵画・デザインを中心に基礎・基本をしっかり身につけさせ、各学年週四時間の実技授業を実施している。高校・普通科ではさまざまな進路に対応できるカリキュラムとなっており、三年で絵画コースとデザインコースに分かれる。約八割の生徒が女子美術大学芸術学部や同大学短期大学部に進学している。 「女子美の生徒たちは附中生の作品を見たり、実際意見を聞いたりして、前向きに学ぼうという意識を持ったようです。お互い美術を通して、心の中で通じ合うものが芽生えているようです」(遠山教諭) 生徒・教員が国境を越え、美術を通して通じ合う交流は、着実に相互理解を深める第一歩となり始めている。
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