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記事2007年4月3日 2061号 (1面) 
中央教育審議会 今後の教員給与の在り方で答申
メリハリある処遇に
子供の安全・安心方策で諮問も
中央教育審議会(山崎正和会長=LCA大学院大学長)は、三月二十九日、都内の会館で総会を開き、「今後の教員給与の在り方について」の答申をとりまとめ、伊吹文明・文部科学大臣に提出した。またこの日は伊吹大臣から、「子供の心身の健康を守り安全・安心を確保するために学校全体として取り組みを進めるための方策」について諮問が行われた。

 近年、学校への登下校時などに事件や事故に巻き込まれる児童等が増えているほか、朝食欠食、孤食、メンタルヘルスに係る課題、アレルギー疾患など子供の心と体を巡る健康問題も深刻な状況にあることから、改めて養護教諭や栄養教諭を中核に全教職員また専門機関等が参加した安全・安心方策を探るもので、スポーツ・青少年分科会に新設される「学校健康・安全部会」が審議する。
 一方、今後の教員給与の在り方に関しては、行政改革の一環として、また地域や家庭の教育力の低下等から、学校教育が抱え込む課題が複雑化・多様化、教員が子供の指導に割ける時間が減少していることを受け、教員の職務の見直し、教員一人ひとりの能力や業績を評価するために、教員の校務と学校の組織運営体制の見直し、諸手当の見直しなどメリハリのある教員給与のあり方、教員の勤務時間・勤務体系の在り方を検討、提言したもの(2月23日号で既報)。総会の中で答申を受けあいさつした伊吹大臣は、行政改革により教員給与費を二・七六%削減する方針は動かせないが、平成二十年度の概算要求で教員給与に関して削減幅を上回る要求をすることは可能だとし、また教職調整額(時間外勤務手当に相当するもの)の四%についてもメリハリをどうするのか、年末の来年度政府予算案編成の焦点となる、との考えを示した。
 また中教審の学校関係者から要望のあった「教職員定数改善計画の実施」については、政府として公務員の削減を進めている下では、難しいとしながらも、非常勤やボランティア確保への財政的な支援、学校事務のアウトソーシングなど、法改正を必要とせず、予算措置等で可能な施策で教員の負担軽減を図りたいとの考えを示した。
 また伊吹大臣は、教員給与の水準は県の条例で定められているが、「民間の実態と県の(教員給与に関する)条例が合っているのか」と語り、また「地方の自治能力が問われている」と指摘した。これは総会で、委員から出された、教員の給与については地域の産業力との釣り合いを確保すべきだ、との意見に答えたもの。
 このほか総会では複数の委員から教員の勤務実態を考えると、教職調整額の四%(という水準)は低すぎる、引き上げが必要だとの意見が出され、また部活動手当の充実の必要性も指摘された。
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