文部科学省はこのほど、私立高校生のいる世帯のうち、年収三百五十万円以下の世帯に関しては、私立高校の授業料を実質無償化する方針を決め、必要な地方交付税措置を十月二十三日、総務省に要望した。
　文部科学省は、平成二十二年度から国公立高校生の授業料実質無償化を実施する方針。私立高校生に関しては、国公立高校授業料と同等額（年額十一万八千八百円以内）の就学支援金を間接支給する。そのうち年収五百万円以下の世帯に関しては、就学支援金を二十三万七千六百円以内まで積み増しすることにしており、来年度概算要求で奨学金事業等の充実・改善と併せて、総額で四千六百二十四億円を財務省に要望している。
　しかし私立高校生の場合、年額約二十四万円の就学支援金が出ても、平均授業料額（約三十五万円）には届かず自己負担分が残ってしまう。
　そのため、低所得世帯(年収三百五十万円以下)の生徒については、地方交付税による財源措置と国庫補助でさらに年額三十五万円までの授業料が実質無償化できるようにする。また子育て世帯の年収の中間値である年収六百万円程度の世帯まで年収額に応じて就学支援金(十一万八千八百円)に授業料減免補助を上乗せできるようにする。
　就学支援金に上乗せする授業料減免補助に必要な財源は、国公立高校で授業料が実質無償化するため、授業料の未納を想定して道府県向けに設けていた地方交付税措置三百二十億円の中から二百四十九億円を転用することを総務省に要望、加えて文部科学省の二十二年度概算要求中の「私立高等学校等経常費助成費等補助金（授業料減免事業等支援特別経費）」十一億円と、平成二十一年度補正予算に計上済みの「高校生修学支援基金」（平成二十一年度から三か年分、約四百八十六億円）の中から六十八億円を充てる方針。ただし地方交付税による財源措置は道府県の裁量のため、自治体間でバラつきも予想される。また財務省等の査定もあり、実現にはなお幾つものハードルがある。