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記事2009年4月3日 2132号 (6面) 
新校長インタビュー (179) ―― 中央大学高等学校
校長 植野 妙実子氏
中大の中核となる生徒育成
大学との連携教育推進


 中央大学高等学校(植野妙実子校長、東京都文京区)はグラウンドや独自の体育館を持たず、全日制高校の設置基準を満たすことができないため、独自の昼間定時制を導入している。現在、体育館等は大学の施設を利用している。
 同大学の「実学の探究」「質実剛健」「家族的情味」という建学の精神は、同校にも受け継がれている。
 植野校長は建学の精神についてこう述べる。
 「本校では理論や原理を学ぶとともに、それを社会にどのように役立てていったらいいのかを、考えさせる教育を目指しています。これが『実学の探求』です。また、『家族的情味』とは、教師と生徒との間を密にしてきめ細かい教育を行い、信頼関係を築くという意味が込められています」。
 「中央大学の中核となる生徒を育てる」(植野校長)ことを目指しているが、大学の附属校として現在、卒業生の約九〇%は同大学に進学している。落ち着いた雰囲気の中で伸び伸びと勉強できること、大学(理工学部)と同一敷地内にあるという立地から生徒が大学生や研究者を身近に見て育ち、自らの将来を具体的に描くことができること、を附属校のメリットとして生かすことを考えている。
 一方で、危機感がない、チャレンジ精神に欠けるといったデメリットの面も否定しない。そこで、今までも補習等は行ってきたが、本年度から習熟度別授業・進路別授業を始めることにしている。生徒の才能・個性を伸ばし、大学で十分に能力を発揮できるようにしてほしいとの思いからだ。
 また、大学との連携教育も積極的に進めている。商学部および中央大学経理研究所による簿記検定講座が実施されており、三年次には大学科目「簿記論」を高校で受講できる。同じ敷地内にある理工学部数学科の「科目等履修制度」を利用して、高校三年生が聴講できるようにもなっている。法学部・総合政策学部進学予定の三年生は、法科大学院で模擬裁判によって裁判員制度も学んだ。
 植野校長は「当たり前のことがきちんとできること、お互いの人格を尊重すること、そして自主自立を目指し、自分で考え行動し解決できる力を身につけてほしい」と期待をかけている。
 植野校長は中央大学大学院教授(公共政策研究科)という肩書ももつ。専門は憲法・フランス公法。高校の時代に憲法の本(小林直樹著)に接し、憲法に興味をもったことがきっかけで研究者の道に進んだという。
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