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記事2010年11月13日 2187号 (1面) 
高校など授業料無償化拡大で検討案
年収610万円世帯まで無償化
私学には負担や制約課す 大阪府
 橋下徹・大阪府知事は十一月九日、高校等の授業料無償化の拡大に関する検討案を発表した。
 知事の提示した検討案は、中学校卒業時の自由な学校選択を保障するため、年収が六百十万円未満の世帯の生徒(全体の約五〇%)に関しては私立高校等の授業料が実質無償となるよう、またそれを上回る年収八百万円までの世帯の生徒に関しては保護者負担額が実質年額十万円で済むよう、「私立高校生等授業料支援補助金」を大幅に拡充するという内容。実施は平成二十三年度からだが、来年二月の府議会で議決を得られた場合という条件付き。そのための財源は私立小学校、中学校への経常費助成を更に大幅削減するほか、大阪府職員の人件費圧縮等を検討する見通し。
 今回の補助金を受けられるのは、前記の所得要件を満たし、同時に@生徒・保護者が大阪府内に住所を有し、A知事が指定する「就学支援推進校」に進学B国の就学支援金の交付対象である生徒。
 新制度の「就学支援推進校」は、授業料が標準授業料(五十八万円、五年間変更せず)以下の学校か、授業料が標準授業料以上の学校にあっては、補助対象の生徒に給付型奨学金等で差額分を学校側が負担するのが条件。府は十一月中に新制度の「就学支援推進校」の指定を受けるか否かの意向調査を、私立高校等を対象に実施する。上限となる標準授業料(五十八万円)には、授業料のほか施設設備費が含まれている。橋下知事は、最も強く実現を目指している保護者負担の軽減を実現するため、学校が徴収するその他の学納金についても厳しく制限する方針で、クラブ遠征費の徴収など一定範囲は認めるものの寄付は認めず、入学金も指導等で厳しく抑制していくことにしている。
 一方、経常費補助金に関しては、私立高校間の競争を促すため、原則として生徒単価均等(パーヘッドの原則)での配分へ見直す。経過措置として削減額の上限を設ける激減緩和措置も検討する。加えて評価基準を設けて「頑張る学校」には特別加算(パフォーマンス評価)を行う。広く経常費補助から予め一定額を差し引き、それを頑張る学校に上乗せする。新制度では補助額が数億円も増額する学校が出る一方、大幅に減額する学校も現れる見通しで、一部の小規模校などは経営的に苦境に立たされる恐れもあるが、橋下知事は例えば大規模法人の傘下に入るなどの工夫で対応してほしいとしている。新制度により生徒の進学動向が流動化することから公立七対私立三との受け入れ比率は策定せず、七対三をベースにしつつ、それぞれ募集定員を設定した上で、府内進学予定者数はすべて受け入れ可能とする。新制度は五年間継続しその後政策評価を行うが、私立高の専願率が二五%を割り込むなどしたら見直す方針。
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