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記事2012年4月3日 2234号 (1面) 
私学団体が教育振興基本計画で意見表明
私大団体連等 私大中心の高等教育政策を
中教審・教育振興基本計画部会
数値目標と工程表を 私立中高連
政府の第二期「教育振興基本計画」(平成二十五年度―二十九年度)を審議している中央教育審議会の教育振興基本計画部会(部会長=三村明夫・新日本製鐵株式会社取締役会長)は、三月二十六日、文部科学省内で十五回目の部会を開き、同部会が昨年十二月に公表した「第二期教育基本計画の策定に向けた基本的な考え方」等について、日本私立大学団体連合会・日本私立短期大学協会、日本私立中学高等学校連合会を含む十二団体から意見を聴取した。

 この日、意見を述べたのは、私学三団体のほか、全国中小企業団体中央会、NPO法人「育て上げ」ネット、全国高等学校PTA連合会、社団法人日本経済団体連合会、全国高等学校長協会、全国特別支援学校長会、全国社会教育委員連合、全国公民館連合会、日本私立大学教職員組合連合。
 この中で私大団体連・日短協からは、鈴木典比古・私大団体連代議員・高等教育改革委員会委員(国際基督教大学長)が、日本私立高等専門学校協会を加えた三団体の意見として、@高等教育への進学率のさらなる上昇を国家戦略の一環として位置付け、国家戦略に基づいた高等教育政策の策定、それに基づいた公財政支出の在り方を決定すべきである、Aこれからの高等教育政策は、多様性と重層性を担保した上で、教育の質向上のための大学間の切磋琢磨を促すことを政策目標とし、従来の国立大学重点主義から脱却、私立大学を中心に据えた高等教育政策を策定すべきだ―などの点を要望。その上で私立大学等経常費補助率二分の一の年次計画、同補助金の交付金化等の実現を求めた。また日短協の関口修副会長(郡山女子大学短期大学部学長)は短期大学が地域の文化や女子の高等教育を担うなど大きな役割を果たしていること、東日本大震災以降、特に福島県では放射線の影響から厳しい状況となっていることなどを訴え、地域社会の復興に努力している私立大学等に対する手厚い支援、被災学生への経済支援等の重要性などを力説した。
 私立中高連からは實吉幹夫常任理事(東京女子学園中学高校長)が出席し、第一期の教育振興基本計画が数値目標を含めて実効性を伴うものでなかった、とした上で、第二期計画には、掲げた政策の実効性を担保する数値目標を盛り込むこと、また包括的な工程表を示し、政策目標の進捗状況を年次ごとに公表するなどして行政の説明責任を果たすこと、国公私立学校の均衡ある政策を具体的に提示し、国の責任で推進することを求めた。
 私立学校の振興に関しては、税制措置・私学助成・経営支援等の内容がより具体的に示されるよう要望。このほか私立高校等に関しては依然、経済的負担が残る就学支援金制度に関して、経済的な理由により就学が困難な者に対する措置の実質的な実現に向けての再検討と具体的提言、次代を担う国民の安全を確保するという立場から、学校施設の耐震化促進に向けて具体的措置計画の明示を求めた。
 このほか全国高等学校長協会は、多様化した高校の機能分化を図る必要があること、つまり高校教育のミニマム(基本的な市民性教育)の上に、各学校が各ミッションを明確にし、出口の部分で質の保証を行うこと、多様性を前提とした修得主義への移行を求めた。
 社団法人日本経済団体連合会は、グローバル人材育成に向けて、大学生の海外留学の奨励、大学進学者の学力保証に向けた取り組み、大学の自主的選択に基づく機能別分化と並行して、国公私立大学の再編、統合の推進、入学定員の見直しを通じて、各大学の適正な教育研究環境の確保、経営基盤の強化を図るべきだなどの意見を述べた。


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