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記事2012年7月13日 2244号 (1面) 
国家戦略会議 日本再生戦略原案を公表
2020年までに実現 11の成長戦略、38の重点施策策定
人材の底上げ、グローバル化等を推進
 野田佳彦総理が議長を務め、わが国の税財政の骨格や重要政策の基本方針等を決める政府の国家戦略会議は七月十一日、「日本再生戦略」の原案を公表した。「共創の国」の実現を目指して、十一の成長戦略、三十八の重点施策を打ち出しており、そのうち教育改革に関しては「人材育成戦略」を掲げ、二〇二〇年までに社会経済を支える人材の底上げやグローバルに通用する人材の育成・確保を図るとしている。同戦略は七月中に閣議決定される予定。

 日本再生戦略原案では、人材の育成に関して、産業構造の変化や新たな国際分業等に対応するために求められる人材ニーズを踏まえ、産官学の連携の下、知識・情報を社会や市場につなぐ仕組みを戦略的に強化する人材育成システムを再設計し、人材の底上げやニーズに対応した多様な人材の育成を実現する、としている。このため、成長分野やものづくり分野における職業教育・職業訓練や、自立するための職業教育・職業訓練を強化し、実践的な職業能力の評価の仕組みの導入を図る。また、語学力・コミュニケーション能力を含め、新たな価値やビジネスを創造できる能力を持つ人材の育成などの必要性を強調している。
 具体的な人材育成戦略では、@六三三制の柔軟化等による意欲ある地域の取り組みの推進A大学ビジョンに基づく高等教育の抜本的改革の実施Bグローバル人材の育成と社会人の学び直し等の推進を重要施策に掲げている。このうち六三三制の柔軟化等に関しては、二〇一二年度中に「高校教育改革プログラム」(仮称)を取りまとめ、「小中一貫教育制度」(仮称)を創設、二〇一三年度には中高一貫教育推進のためのカリキュラム開発を行うなど柔軟で多様な進路設計を可能とする弾力的な教育を推進。また、学校関係者評価の法令上の位置付けを検討し二〇一三年度中に結論を出す。ICTを活用した教育に関しては、二〇一四年度までに児童生徒一人一台の情報端末による教育の本格展開の検討・推進、二〇一五年度までに中高一貫教育校を五百校にし、二〇二〇年度の目標年にはOECD生徒の学習到達度調査で世界トップクラスの順位獲得、十八歳未満までの留学ないし海外在学経験者を三万人規模にする―などを掲げている。
 また、高等教育に関しては、財政基盤の確立と基盤的経費(運営費交付金、私学助成)等の一層のメリハリある配分、学生の学修時間の欧米並み(一日八時間前後)の水準の確保、英語による授業の倍増、外国語で教育研究指導可能な人材の一・五倍増、二〇一三年央までに取りまとめる国立大学改革プランを踏まえて大学・学部の枠を超えた連携・再編成等を促し、私立大学については質保証を徹底推進する。
 さらに大学のマネジメント強化、学修環境整備、大学入試改革、地域再生の拠点としての大学の機能強化等を進めることで、二〇二〇年度までに、世界の大学ランキングでの上位校の増加、質の高い外国人学生三十万人の受け入れ、日本人学生等三十万人の海外交流、日本企業のマネジメント層の国際経験を東アジアトップレベルに引き上げる、としている。
 グローバル人材育成と社会人の学び直し等に関しては、質の高い外国人学生の戦略的獲得、国際化対応ビジネス人材の育成、大学の秋入学導入に向けた環境整備等を行う。秋入学に関しては、二〇一四年までに政府としての基本的対応方針を整理する。
 また、大学・専門学校等における社会人の学び直し等のニーズに対応した学修機会の提供や、「人を活かす」サービスの創出等による再教育・マッチングの仕組みの構築を図る。具体的には、大学の社会人入学者数を九万人にし、専修学校で十五万人の社会人受け入れを成果目標とする。ジョブカード取得者を三百万人に増やし、一千万人規模の産業間人材移動、二百万人規模の職種転換を目指す。
(近く詳報)
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