こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2017年11月13日号二ュース >> VIEW

記事2017年11月13日 2425号 (1面) 
大学の連携と統合を議論
課題や問題点を洗い出し
将来構想部会

中央教育審議会大学分科会将来構想部会(部会長=永田恭介・筑波大学8日、長)は11月8日、文部科学省内で第8回会合を開き、「地域における質の高い高等教育機会の確保のための方策について連携と統合の可能性」と題する論点整理について意見交換した。  この論点整理は、8月23日の同部会第4回会合で示された同名の資料を抜粋したもの。連携に係る現状の課題例や統合に係る現状の課題例を示しており、大学間の連携・統合に関する実質的な意見交換は初めてで、今後も議論を続ける予定。  論点整理では、大学間の連携に関して、全ての科目を自大学で開設することが設置基準上の原則。単位互換をする際も同様で、相当程度の同等性のある科目を自大学で開設することが前提教員は一つの大学に限り専任となることが原則等の課題例を指摘。また大学間の統合に関しては、学校法人の統合については私立学校法等の規定があるが、国公私を通じた統合の仕組みがない国立大学法人は1大学のみの設置であり、学校法人と異なり、複数の大学の設置は認められていない特に、私立大学は、建学の精神の継承の観点から法人の自主性を尊重しての統合促進等が課題例だとしている。  こうした論点整理に意見交換では、永田部会長は連携について「非常にやりにくい」とし、「コンソーシアムについても公的にサポートする仕組みが必要。連携で質確保できるかが肝」と語った。その他の委員からは、「大学に経営はないのか。大学のガバナンス改革はきちんとできているのか検証が必要だ」との意見も聞かれた。また、統合に関しては、永田部会長は「近未来的には相手が外国の大学の例も出てくる」と発言。そのほか委員からは「国立高等専門学校は1法人が複数校を動かしている。メリットとデメリットを示してほしい」「統合では対等合併は少なく、吸収合併が多い。吸収する側は(吸収する大学の)教員を抱え、事務手続き負担も大きい。統合の後押しには吸収する側への支援が必要」「地方は小規模校が多く、吸収する体力のある大学は少ない」「国立大学も複数の大学が持てるようにすべきだ」といった意見が聞かれた。国立大学の統合については、「統合を行う意味があるのか」と根本的な疑問を語る委員も見られたが、その委員は私立大学に関して、「学部単位での吸収など、統合をやりやすくすることはあると思う」と語っている。さらに「2040年にどのような大学が必要かを考えるべきで、国公私立を分けて考えない方がいい」といった意見も聞かれた。  こうした議論に先立って鈴木典比古委員(公立大学法人国際教養大学理事長・学長)がこれからの時代に求められるリベラルアーツについて発表を行った。

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞