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記事2017年11月23日 2426号 (1面) 
地方大学の振興等に関する有識者会議開く
最終報告に向け大詰め議論
12月8日に最終回
東京定員抑制、両論併記か

内閣府の「地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議」(座長=坂根正弘・コマツ相談役)が11月21日、東京・霞が関の中央合同庁舎第4号館で第13回会合を開き、最終報告の取りまとめに向けた議論を行った。12月8日の次回会合が最終回となる。
 この日の検討材料は最終報告の素案。内容はおおむね5月の中間報告の延長上にあるが、「基本的な問題認識」の構成が変わり、第一に「東京一極集中の現状と課題」を提示し、より強調する形となった。その上で「大学の現状と課題」「地域産業、若者雇用の現状と課題」を提示。そして、取り組み推進にはデータの収集と分析が重要だという視点から「徹底した『見える化』の必要性」を強く訴え掛けている。
 まとめの本題と言うべき「今後の取り組み」は、「地方の特色ある創生のための地方大学の振興」「東京の大学の定員の抑制」「東京における大学の地方移転の促進」「地方における若者の雇用の創出」の4テーマに分けて、それぞれ細かく具体的に示している。このうち、定員抑制の対象や学部・学科の改編(スクラップ・アンド・ビルド)の在り方などについてはいまだ委員の意見が分かれており、さまざまな「抑制の例外」の検討が必要だと書く、いわば両論併記の形となっている。内閣府の担当者は「さらに議論を詰めていただき、方向性を明確に示せればと思っているが、このままの両論併記で最終報告となる可能性もある」と話した。
 この日の議論では「定員抑制の大前提として大学の新陳代謝が必要」「全国の大学の適正配置には、東京一極集中を是正した後の国土ビジョンも求められる」「東京対地方という捉え方に陥りがちだが、地方にはそれぞれの特性があり、ひとくくりでの議論は成り立たない」などの意見が出た。早稲田大学総長の鎌田薫委員は欠席したが、事前に意見書を提出。東京圏の大学が地方貢献を果たしている現状を踏まえて、「地方大学振興施策」ではなく「地方創生に貢献する大学の振興施策」とすることなどを求めた。

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