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記事2017年11月3日 2424号 (1面) 
児童生徒の学習評価に関するWG発足
指導要録の改善等も検討

中央教育審議会・初等中等教育分科会教育課程部会の下に新設された「児童生徒の学習評価に関するワーキンググループ」(主査=市川伸一・東京大学大学院教育学研究科教授)が10月16日、文部科学省内で初会合を開いた。学習指導要領等の改訂を踏まえて、児童生徒の学習評価について専門的な調査・審議を行うために設置されたWGで、委員は教育学などの研究者や小・中・高校の校長、教育委員会関係者など18人。学習評価そのものだけでなく、その参考資料の在り方や、指導要録の改善なども検討事項とする。次期学習指導要領は「知識」について、個別の事実的な知識だけでなく、相互に関連付けられて社会で活用される知識も含む、と整理しており、そうした知識の概念的理解をどう評価するかが論点となる。  具体的には、「思考・判断・表現」や「主体的に学習に取り組む態度」をどう評価するか、ペーパーテストの結果にとどまらない多面的・多角的な評価をどう推進するかなどが論点となる。また、教科横断的な視点で育成を目指すとされた「言語能力」や「情報活用能力」などの評価方法についても議論を深める。その他、教員の過度な負担にならないような手だてをどう講じるかや、障害のある児童生徒の学習評価にはどのような配慮が考えられるかなども論点に想定されている。  この日は、委員である石井英真・京都大学大学院准教授、鈴木秀幸・静岡県立袋井高等学校教諭が発表を行った。石井委員は、観点別評価は毎時間の授業で行うのではなく、単元レベルで意識して長期的な変容や育ちを評価すべきだ、との見解を示した。鈴木委員は、一定の複数学年を通した評価基準を設定して評価するというアイデアや、ポートフォリオは高大接続の資料としての価値も大きく、作成を促すべきだといった考えなどを示した。その後は自由討議が行われ、委員からは「評価を論じることは学力論になる。カリキュラム作成などの側面においてもこのWGでの議論は重要だ」といった俯瞰(ふかん)的な意見や、「評価にはどうしても時間がかかるがカットできる要素は少ない。生徒指導などの時間を切り詰める必要がある」など勤務時間に関するものなど、多様な意見が出た。

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