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記事2017年12月13日 2428号 (1面) 
幼児教育、高等教育を無償化
2兆円の政策パッケージ閣議決定
私立高校も授業料の実質無償化
リカレント教育、抜本充実へ

政府は12月8日、政府与党政策懇談会での検討を経て、2兆円規模となる「新しい経済政策パッケージ」を閣議決定した。この政策パッケージは、わが国が少子高齢化を克服するための一億総活躍社会実現に必要な人づくり革命と生産性革命の具体的施策等を取りまとめたもので、このうち人づくり革命に関しては、「幼児教育の無償化」「高等教育の無償化」「私立高等学校の授業料の実質無償化」等の実施が盛り込まれている。詳細については、「リカレント教育」(学び直し)の抜本的な拡充・環境整備を含めて2018年夏までにまとめる方針。


「新しい経済政策パッケージ」は、人づくり革命、生産性革命、現下の追加的財政需要への対応からなっており、このうち人づくり革命に関しては、初めに幼児教育の無償化を取り上げて、子育てや教育にかかる費用負が少子化問題の一因になっていることを挙げ、また幼児期の教育・保育が能力開発や人格形成、根気強さや意欲といった非認知能力の育成に非常に重要な役割を果たしていることを指摘し、3歳から5歳までの全ての子供の幼稚園・保育所・認定こども園の費用を無償化するとしている。  それら以外の無償化措置の対象範囲等については、専門家の意見も参考に保育の必要性、公平性の観点から、来年夏までに結論を出す方針。  0歳から2歳児が9割を占める待機児童の解消については当面の最優先課題として計画を前倒して解消を目指すが、同時に0歳から2歳児については、当面、住民税非課税世帯を対象に保育等費用の無償化を進める。  これら無償化策は2019年4月からから一部を開始、2020年4月から全面実施する。  高等教育の無償化に関しては、2017年度から給付型奨学金制度が創設されるなど支援策がとられてきているが、同政策パッケージでは貧困の連鎖を断ち切り、格差の固定化を防ぐため、どんなに貧しい家庭に育っても意欲さえあれば、大学、短期大学、高等専門学校、専門学校に進学できる社会へと改革する、としている。具体的内容に関しては、住民税非課税世帯の子供たちに対して、国立大学の場合は授業料(約54万円)を免除、私立大学の場合は、国立大学の授業料に加えて、私立大学の平均授業料の水準を勘案した一定額を加算した額までの対応を図る、1年生に対しては入学金についても免除する(国立大学の入学金が上限、2017年度は約28万円).これらの減免措置は学校に交付され、私立大学の場合、授業料が減額となる。  同時に給付型奨学金に関しては、支援を受けた学生が学業に専念できるよう、学生生活に必要な生活費を賄えるような措置を講じるとしている。  支援対象者については、高校在学中の成績だけで判断せず、本人の学習意欲を確認することにしており、大学等に進学後の学習状況(単位の取得状況、平均成績の状況等)によっては支援が打ち切られる。  また、支援措置の対象となる大学等については、急速に変わりゆく社会で活躍できる人材を育成するため、社会ニーズや産業界のニーズも踏まえ、学問研究と実践的教育のバランスの取れている大学等とする、としている。  具体的には実務経験のある教員による科目の配置、(2)外部理事への任命が一定割合を超えている、(3)成績評価基準を定めるなど厳格な成績評価を実施・公表している、法令に則り財務・経営情報を公表しているを満たしていること、としている。こうした要件については今後、ガイドラインを策定する。  こうした公費投入の拡大に関しては与党・自由民主党の文教関係の有力議員から、同時に大学の質の向上をセットで進めないと国民の理解は得られないとの発言も出ており、今後、大学には質向上の取り組み、改革が今まで以上に強く求められる見通しだ。文部科学省では、学修成果指標の設定・公表、既存の学内組織にとらわれない教育プログラムの提供、私学助成の配分ルールの見直し、経営層への外部人材の登用、外部資金導入の大幅な増加、経営の幅広い連携・統合や事業譲渡的な承継方策(学部・学科単位での設置者変更)の検討、経営破たんの際の処理手続きの円滑化方策の検討等を進める方針。  リカレント教育に関しては、いつでも学び直し、やり直しができる社会を作るため、リカレント教育を抜本的に拡充するとともに、現役世代のキャリアアップ、中高年の再就職支援等を雇用保険制度の活用も含めて2018年夏に向けて検討することにしている。  リカレント教育に関して、文部科学省では抜本的強化に向けて、リカレント推進本部の設置など学内体制の整備、大学と企業の協働によるリカレント教育プログラムの創設、産学官連携によるリカレント教育拠点を各地域に形成、放送大学、MOOCSなどオンライン教育の拡充等を進める考え。このほか大学に関しては、1法人複数大学化等の組織再編を含め、イノベーションを軸とした国公私立の枠を超えた大学の連携や統合・機能分担のありかたについて、2018年度中に成案を得て、所要の改革を進める方針。  私立高校に関しては、年収590万円未満世帯を対象とした授業料の実質無償化を、現行の高等学校等就学支援金の拡充で実現する方針。財源については、消費税使途変更(税率10%への引き上げ時)による、現行制度・予算の見直しで捻出する。具体的には今年度予算ベースで、住民税非課税世帯については実質無償化、年収約350万円未満の世帯については最大35万円を支給、年収590万円未満の世帯については最大25万円の支給ができる財源を確保する方針。

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