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記事2017年5月3日 2408号 (1面) 
自民党・文部科学部会に 「私立大学等振興小委」発足
20、30年先を見据えて、在り方を議論

自由民主党政務調査会の文部科学部会(部会長=亀岡偉民・衆議院議員)は、部会内に「私立大学等振興小委員会」を新設し、4月25日、党本部で初会合を開いた。委員長には小渕優子・衆議院議員が就任した。わが国の高等教育で大きな役割を担う私立大学について、時代変化や人口減少といった要素を考慮し、20年後、30年を見据えて私立大学の在るべき姿について議論する。  この日は、冒頭、亀岡部会長、小渕委員長等のあいさつの後、日本私立大学団体連合会の鎌田薫会長(早稲田大学総長)と文部科学省の村田善則私学部長から私立大学の現状について聴取し、意見交換を行った。  この中で鎌田会長は、小委員会の設置に感謝した上で、(1)自由民主党の議員立法で成立した私立学校振興助成法や、成立時の「経常費の2分の1補助の速やかな達成を目指す」との附帯決議の趣旨が蔑ろにされている(昭和55年度の補助率29・5%をピークに、平成27年度には補助率が9・9%にまで低下)、(2)私立大学に対する公財政支出額は学生1人当たり17万円で国立大学の学生1人当たり額(218万円)の約13分の1、(3)私立大学生は1・8%しか授業料減免の補助対象になっていないが、国立大学生は29・6%が授業料を免除されている、(4)国立大学生の家庭の年間平均収入額(839万円)は私立大学生の家庭の年間平均収入額(826万円)を上回っている、(5)私立大学は政府による負担(費用)の10・1倍の便益を政府にもたらしているとの試算(国立大学は1・9倍)もあるなど、国私間の公的支援の極端な格差の現状等を説明。また、国家公務員、企業の社長、国会議員等で数多くの私大出身者が活躍していることも付言し、私立大学への公財政支出増額の必要性を訴えた。  文科省の村田私学部長は、18歳人口の今後の見通しや定員充足率の低下、都道府県別大学進学率の差がこの10年でさらに広がっていることなど、私立大学を取り巻く状況等を説明した。  こうした要請・説明に、出席の議員からは、「憲法改正しないと根本的なことは変わらない」、「まず一度原点に返って国公私が果たすべき役割を議論した方がいい。前提をしっかりしないと議論が収束しない」、「生涯教育として主婦や高齢者など学びたい人に大学は門戸を広げるべきだ」、「私学の未来を憂慮している。国公私の役割、小委員会の中で決めていくことは大変重要だ」、「地方の私大では公立化志向が高い。○○大学校や職業訓練校も高等教育機関として考えられるか」といった意見が聞かれた。小委員会には私大団体連の大沼淳副会長(文化学園大学理事長・学長)も出席した。


 

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