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記事2017年7月13日 2414号 (1面) 
広域通信制高校の質の確保・向上協力者会議
調査結果で改善必要な事項判明
面接指導時間減免正しい運用へ対応策検討

文部科学省の「広域通信制高等学校の質の確保・向上に関する調査研究協力者会議」(座長=荒瀬克己・大谷大学文学部教授)は7月5日、都内の会議室で第7回会議を開いた。会議では、文科省から「高等学校通信教育に関する調査結果について(概要)【速報値】」が報告され、また「高等学校通信教育の質の確保・向上に関する論点メモ」(案)が報告され、検討された。このうち文科省の調査は、通信制課程を置く全高校241校(公立77校、学校法人立148校、株式会社立16校)を対象に今年6月に実施したもの。設置形態、収容定員、在籍生徒数、生徒の現状、高校通信制課程で特に重視している取り組みと課題、多様なメディア(インターネットやテレビ視聴等)を利用した学習による面接指導時間数の減免、通信制課程における通学コースの実態等を調査した。  それによると、株式会社立校では多様なメディアを利用した学習による面接指導時間数の減免が100%の学校で行われており(学校法人立では約70%)、減免の度合いも限度いっぱいの10の8を減免しているとの学校が多く見られた。同省ではこうした減免は、「(テレビ放送等による)計画的かつ継続的な学習、加えて生徒による報告課題の作成等により、その成果が満足できると認められるとき」が前提で、メディアごとにそれぞれ10分6以内の時間数を免除できる、ただし免除する時間数は合わせて10分の8を超えることができないとしている。同省では計画的かつ継続的に行われる学習であることが担保できない学校が相当数あり、成果についても十分な確認が行われず、生徒の状況にかかわらず一律10分の8減免とする取り扱いが行われていると認識している。  また、通信制高校ながら、週1日以上学校等に通学している(通学コース)生徒が全体の約3分の1を占め、株式会社立校では9割近い学校で、学校法人立でも8割強の学校で自校通学コースが開設されており、提携校への通学コースもある。株式会社立校の中には、1週間のうちほとんどを大学進学予備校に通わせているという学校もある。こうした通学コースについて文科省は初めてその役割や在り方も検討する方針で、次回会議で文科省は、こうした実態への対応策を同会議に提案することにしている。  同会議委員の賀澤恵二・NHK学園高校長は、「通信制課程は例外ではない。質、量とも全日制と変わることがないと認識すべきだ」と語り、一部の通信制高校で安易な学習により卒業している実態の改善を訴えた。  同会議の荒瀬座長も、「(広域通信制高校を巡って)依然不祥事が続いている。現実に困っている生徒がいる。急いで対応したい」と語った。

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