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記事2017年8月3日 2416号 (1面) 
中教審・将来構想部会開く
私大団体連等が意見発表
私大の幅広い役割など強調

中央教育審議会大学分科会の将来構想部会(部会長=永田恭介・筑波大学長)は7月28日、文部科学省内で第3回会議を開き、わが国の高等教育に関する将来構想に関する審議を進めた。  この日は、審議に先立ち部会委員の吉見俊哉・東京大学大学院情報学環教授が、「人口減少社会と大学の再構築」の演題で意見発表を行い、18歳人口の激減、グローバル競争の激化、知識・産業構造の変化で大学の抜本的再定義、構造改革は必然と指摘。を通した上で、学部を超えた流動性、地方と東京の間の(大学を超えた)流動性、世代間の流動性(人生で3度大学に入る仕組み)等の確保、大学はグローバルな知識基盤と社会実践をつなぐ機関となる必要性等を提案した。  続いて国立大学協会の松尾清一副会長(名古屋大学長)が、6月14日に同協会がまとめた「高等教育における国立大学の将来像」(中間まとめ)を報告、その中では高度な研究力、充実した大学院の機能を一層伸ばすことが重要と指摘。国立大学の全体的規模については現状程度を維持、大学院については拡充が必要で、全都道府県に国立大学あるいはキャンパスを置く基本原則は堅持すべきだとした。  次に、公立大学協会の奥野武俊専務理事が「公立大学の諸課題とその将来構想に向けての議論」と題して発表、各大学の地域貢献の取り組みを機能ごとに整理し、理論的・実践的に分析し、将来構想の議論を開始すべきだとした。  また部会委員の日本私立大学団体連合会の村田治副会長(関西学院大学長)が私立大学における将来構想について報告した。私立大学に関しては部会委員の佐藤東洋士・桜美林学園理事長も個人的な感想と断った上で私大の現況等について説明した。  このうち村田学長は、平成23年6月の私大団体連の提言を紹介し、私立大学を中心とする総合的大学政策の確立、具体的には、知識・技術の創造拠点、中核人材の養成拠点、機会均等の保障の役割は、私立大学がその大部分を担うことができること、国立大学に関しては、国立でなければ担えない分野の大学院レベルの教育と大規模な学術研究、基礎・開発研究に特化すべきだとした。  この後、委員による意見交換では、「学部ごとに大学に入る妥当性はあるのか」「大学の教育と社会的要請とのマッチングが取れていない。産業界で足りない分野の大学卒業生に高給を払えば大学の養成も変わる」などといった意見が出された。

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