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記事2017年9月23日 2420号 (1面) 
地方大学の振興等に関する有識者会議
大学との連携によるベンチャー創出で実例聴取
論点整理案も議題に

内閣府の「地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議」(座長=坂根正弘・コマツ相談役)が9月19日、東京・霞が関の中央合同庁舎第4号館で第10回会合を開いた。地方における大学との連携でのベンチャー創出を主な議題とした。  発表を行ったのは、Spiber(スパイバー)株式会社の関山和秀代表執行役。同社は山形県鶴岡市に本社を置き、人工クモ糸繊維などのバイオ素材の研究と製品化を行っている。その母体は平成13年に鶴岡市に設置された慶應義塾大学先端生命科学研究所で、独創的なバイオテクノロジー研究を産官学連携で活用すべく、これまでにS社を含めて7社のベンチャー企業を生み出した。鶴岡市および山形県による慶應先端研への150億円規模の投資など、行政や地方銀行、地元企業の強力な支援を受けて活発に活動しており、地域の雇用創出などの貢献もできた、という。関山氏はそうした経緯と現状を説明した上で、慶應先端研の成功の理由として、「冨田勝所長という『スーパースター』的人材の存在」「国の支援とは無関係に取り組むほどに強い思いを持つ首長の存在」の2点を特に挙げた。そして地方で大学発ベンチャーを成功させるには、まず世界トップレベルの先鋭的な研究であることが必要、などと話した。  この日はさらに、論点整理案も議題とした。「地方の特色ある創生のための地方大学の振興等に関する論点」案の中には、「産業振興と人材育成に関する国の基本方針」はどのような内容とすべきか、産官学連携のためのコンソーシアムはどう構成してどのような役割を担うべきか、何を国の支援の対象とすべきかといった内容が盛り込まれている。さらに、東京圏と地方の大学生との対流・交流も取り上げて、大学間の単位互換の推進方策などを課題に上げている。  次回は10月5日に開催、「東京における大学の新増設の抑制」を主要な議題とする予定。

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