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記事2018年11月3日 2457号 (1面) 
日私教研全国私学教育研究集会鹿児島大会開催
新時代に向けたさらなる躍進を目標に
6部会など通じ研究協議

一般財団法人日本私学教育研究所(吉田晋理事長、中川武夫所長)は10月25・26の両日、鹿児島県鹿児島市内のホテルで「平成30年度全国私学教育研究集会鹿児島大会」を開催した。「新時代に向けたさらなる私学の躍進」を研究目標に掲げた今年の大会には600人の募集人員を上回る681人の私立中学高校の理事長や校長、教員らが全国から参加、初日は報告や記念講演等、2日目は私学経営や教育課程、進路指導など6つの部会に分かれての講演や事例発表、パネル討議等を通じて私立学校のさらなる躍進等について研究討議した。


初日午後1時から開かれた開会式では、初めに主催者を代表して吉田理事長が挨拶し、「全国私学教育研究集会は昭和27年に始まり今年で66回目。日本私立中学高等学校連合会も今年創立70周年を迎えるが、連合会創立の4年後から行われている研究集会は正に私学の力・思いを皆で共有する大会だ。今年度のテーマは『新時代に向けたさらなる私学の躍進』。私立学校が戦後70数年、日本の教育をリードしてきたことは間違いないと自負している。今の新たな教育改革等もほとんどは私学がやってきたこと。それを今日は皆さんにご理解いただき、2日間で大きな成果が上がることを願っている」と語り、鹿児島県私学協会など大会の準備に当たった関係者に深く感謝の意を表した。  続いて九州地区私立中学高等学校協議会の新田会長が実行委員長として挨拶し、「私立学校は公立学校にはまねのできない個性豊かな教育を実践してわが国の公教育発展に大きく貢献してきたが、今日、私立学校を取り巻く環境は少子化や新しい教育等への対応など厳しさを増している。私学関係者は教職員一丸となって私学ならではの独自性を発揮、特色ある教育を展開し、社会のニーズにしっかりとこたえていかなくてはいけない。今回の大会は、今後の私学経営はどうあるべきか、学習指導要領や高大接続にいかに対応すべきか、私学が直面する重要な課題について先進的な取り組みを紹介しながら、皆で考えていこうというもの。大会の成果をそれぞれの学校に持ち帰り、より良い教育・学校づくりのために是非とも実践していただきたい」と語った。  大会には地元・鹿児島県の三反園訓知事、鹿児島市の松永範芳副市長が来賓として出席、このうち三反園知事は、「鹿児島も人材育成なくして未来はないとの思いで私学の皆様と共に子供の教育に今全力で力を入れているところ」と語り、私立学校への大きな期待を示した。  この後、次期開催地区代表の堀井基章・関東地区私立中学高等学校協議会長が2019年度は10月17・18の両日、栃木県宇都宮市内のホテルを会場に開催することなどを報告し、多数参加されるよう要請した。  開会式に続く全体会では私立学校活動紹介として鹿児島実業高校新体操部の生徒たちがユニークかつ精度の高い縄跳びの演技等を披露し、参加者を魅了した。  その後、日本私立中学高等学校連合会の吉田会長と日私教研の中川所長が「教育政策と私学情勢について」と題して報告を行い、吉田会長は私学助成や耐震化、ICT環境、公立高校の県外募集、学習指導要領改訂等の問題に言及したが、そのうち高等学校等就学支援金もあって私立高校生のシェアが増えていることを取り上げ、実際は広域通信制高校への進学者が増えていること、通信制高校にもかかわらず通学コースが広がっていることなど、制度的な矛盾の中で、社会性を身に付けた人づくりが危機にあることなどを訴えた。中川所長はAIやSociety5・0の時代を迎えて学校での学びも多様化していくこと、働き方改革やグローバル化、主体的・対話的で深い学び、デジタル調査書への対応等が課題とされる中で、私学関係者は研修等を通じていち早くそうした時代や社会の変化、改革に対応してほしいと述べた。  この後、初日最後のプログラムで、歴史家・作家の加来耕三氏が「幕末を彩った薩摩の偉人たち」と題して記念講演を行い、小説やドラマではない偉人や歴史的出来事の、史実に基づく本当の姿を紹介。また無数のケーススタディーがある歴史から現代を読み解く上でも多くのことが学べること、日本人は苦手だが、立ち止まって考えることの大切さなどを力説した。研究集会2日目は終日、部会での研究討議が行われた。(後日、私学経営部会について詳報予定)

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