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記事2018年12月23日 2463号 (1面) 
文部科学省 2019年度予算案決まる
私学助成関係予算は4385億円に
耐震改築事業、2年間延長

文部科学省の2019年度予算案が2018年12月21日に閣議決定された。一般会計の総額は、5兆5286億8800万円で、前年度比2348億9800万円(4・4%)の増額。国の厳しい財政事情の中で4%台と高い伸びになったのは、政府の防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策として2084億円の「臨時・特別の措置」が盛り込まれたため。

経常費補助等の私学助成関係予算の総額は4385億円、前年度比108億円(2・5%)の増額。私学助成関係予算のうち私立大学等経常費補助は3159億円、前年度比5億円の増額で、内訳は一般補助が前年度比15億円増の2712億円、特別補助が同10億円減の447億円。
 一般補助はアウトカム指標も含めた客観的指標を活用したメリハリある補助金配分で教育の質向上を促進する方針。  一般補助における定員未充足に対する調整や教育の質に係る指標は今年度すでに導入されているが、2018年度配分での指標の達成度等も考慮しながら、2019年度に向け指標の見直しなども検討していく。
 特別補助の中の私立大学等改革総合支援事業は147億円(前年度比16億円増)、経済的修学困難な学生に対する授業料減免等の充実は、概算要求額を40億円上回る177億円(同47億円増)。
 このうち私立大学等改革総合支援事業は役割や特色・強みの明確化に向けた改革に全学的・組織的に取り組む大学等を重点的に支援する事業。具体的にはタイプ1「特色ある教育の展開」(採択175校程度)、タイプ2「特色ある高度な研究の展開」(同40校程度)、タイプ3「地域社会への貢献」(同165校程度)」、タイプ4「社会実装の推進」(同80校程度)が想定されている。このうちタイプ3は大学間、自治体・産業界等との連携を進めるプラットフォーム形成を通じた大学改革の推進支援(20〜40グループ)等を想定しているが、プラットフォーム作りにはかなりの労力が必要なため、大学単独での自治体等との連携も補助対象とする。
 また経済的に修学困難な学生に対する授業料減免等の充実(177億円)は、経済的に修学困難な学生に対して授業料減免等の事業を実施している私立大学等に対する補助。2019年度は減免対象人数を今年度より約2万5千人増やし約9万6千人とする。配分方法は所要経費の2分の1以内で支援するが、熊本地震、2018年7月豪雨、北海道胆振東部地震の被災学生への授業料減減免への補助率は3分の2以内となる。
 東日本大震災で被災した経済的に修学困難な学生への授業料減免等を行う大学(福島県所在のみ)への補助率は5分の4以内となる。  一方、私立高等学校等経常費助成費等補助は、前年度比10億円増の1031億円で、児童生徒等1人当たり単価では、1・1%の増額を図る。
 1031億円の内訳は、一般補助が871億円、特別補助が133億円、特別支援学校等に対する補助など特定教育方法支援事業が28億円(※端数を切り上げたため合計は1032億円)となっている。
 特別補助には教育改革推進特別経費68億円、過疎高等学校特別経費2億円、授業料減免事業等支援特別経費1億円等が含まれている。教育改革特別経費の中では外部人材の活用等による教育の質の向上に取り組む学校への支援の1校当たりの国庫補助単価が30万円から45万円に増額される。また預かり保育を実施する幼稚園への支援でも取り組みごとの補助単価が増額されている。
 一方、私立学校施設・設備の整備推進事業は大学等と高校等で前年度比93億円増の195億円を計上した。内訳は耐震化等の促進が136億円(うち「臨時・特別の措置」が86億円)、私立高等学校等ICT教育設備整備推進事業24億円(前年度と同額)を含む教育・研究装置等の整備が59億円。耐震化等の促進事業136億円の内、耐震改築(建替え)事業が60億円、耐震補強事業が59億円、その他耐震対策事業が17億円で、耐震改築事業の実施は2020年度まで2年間延長された。倒壊・崩壊の危険性が特に高い施設(Is値0・3未満)や耐震性及び劣化等に課題がある緊急性の高い私立学校施設の耐震対策を集中的に支援する。私立学校施設・設備の整備推進では、2020年度第1次補正予算として26億円が、また12月21日に閣議決定された2018年度第2次補正予算案では108億円の私立学校耐震対策等が盛り込まれている。
 日本私立学校振興・共済事業団による耐震化融資も実施(貸し付け見込み額264億円、2018年度と同額)が予定されており、一定規模(概ね10億円)以上の融資に関しては、最長で20年となっている融資期間を30年に延長し、1年当たりの学校法人の負担を軽減することにしている。
 このほか高等学校等就学支援金等は前年度比26億円増の3734億円で、制度的な変更はない。また高校生等奨学給付金は139億円で、前年度比6億円の増額。非課税世帯(全日制等)の第1子単価(年額)が、私立高校等在学者で9500円増額され、9万8500円となる。
 私立小中学校等に通う児童生徒への経済的支援に関する実証事業は2019年度で実施3年目となるが、予算額は9億9500万円で、前年度比1億9800万円の減額。年収4百万円の世帯に属する児童生徒に最大で年額10万円の授業料負担軽減を行い、義務教育で私立学校を選択している理由や家庭の経済状況等を調査する。
 一般財団法人日本私学教育研究所への補助金は2001万9千円で、前年度比16万5千円の増額。増額は5年ぶり。
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