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記事2018年2月3日 2432号 (1面) 
文部科学省 学校等の省エネ対策で検討会
私学の削減目 標達成率46.6% 

文部科学省は1月30日、「学校等における省エネルギー対策に関する検討会」(主査川瀬貴晴・千葉大学グランドフェロー)の第1回会合を同省内で開催した。教育委員会における組織的な省エネルギー推進の方策などについて検討を進め、平成30年度中の報告書提出を目指す


エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)では、事業者はエネルギー消費原単位または電気需要平準化評価原単位を中長期的に年平均1%以上低減することが求められており、地球温暖化対策推進法でも二酸化炭素排出量の大幅な削減が目標に掲げられている。一方、教育委員会が所管する公立の小中高校などの学校では、施設の高機能化・多機能化やエアコンの設置によるエネルギー使用量の増加などからエネルギー消費原単位の改善に苦慮しており、各自治体の首長部局などとの連携による組織的な省エネ推進が課題となっている。  こうした中、文科省では、(1)教育委員会における組織的な省エネルギー推進方策、(2)学校等における適切なエネルギー消費原単位管理の考え方、(3)学校等で取り組むべき省エネルギー対策および具体的な省エネルギー対策手法――について同検討会で議論を開始した。  1月30日の初会合では、教育委員会における省エネルギーの取り組みの現状と課題について事務局より説明があり、平成28年度におけるエネルギー消費原単位の削減目標の達成率が32・4%と国立大学法人や学校法人などに比べて低いこと、その理由として教室・体育館など学校施設の一般開放や、空調設備の設置・ICT機器の導入など学校施設の高機能化が挙げられていることが報告された。  なお学校法人は、208事業者のうち95事業者が目標を達成、達成率は46・6%となっている。  このほか多くの教育委員会では、技術系職員や専門的な知識を有する人材が少なく、合理的なエネルギー使用を図るための管理標準(エネルギー使用設備の管理要領を定めたマニュアル)の作成が不十分なことも課題に挙げられた。  委員からは、「学校は建物の中の環境が非常に劣悪で、環境を改善することによるエネルギー消費量の増加は止められない。学校の環境がどうあるべきか、どれだけエネルギーが必要なのかを考えないといけない」「建築物は作るときの性能に左右されるので、年1%の削減はなかなか難しい」「教育委員会の省エネ計画は首長部局の実行計画の下にあって主体性を欠いており、効果的に進められていない」といった指摘があった。  一方、前向きな意見としては「困難な状況ではあるが、学校設備はどれも似ているのでモデルが一校あれば全体に波及しやすいのではないか」との見通しも出された。次回は3月15日の開催を予定している。

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