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記事2018年4月13日 2439号 (1面) 
予測不可能な未来社会で自立し社会の形成に参画
高等学校新学習指導要領公示
新たに「歴史総合」「公共」など創設 「情報I」プログラミング等を学習

文部科学省は3月30日、高等学校の新しい学習指導要領を公示し、学校教育法施行規則の一部を改正する省令を公布した。同日付、戸谷一夫事務次官名の通知で高等学校学習指導要領の全部を改正する告示等の公示を各都道府県教育委員会教育長、各都道府県知事等に通知した。高等学校学習指導要領の改訂は9年ぶり。急速に変化し予測不可能な未来社会で自立的に生き、社会の形成に参画するための資質・能力を一層確実に育成する等が教育課程の基準の改善の基本的な考え。2022年度から年次進行で実施となる。移行期間は2019年度から。


今回の改訂では知識の理解の質を高め資質・能力を育む「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善を図ること、その際、生徒が各教科・科目等の特質に応じた見方・考え方を働かせながら、知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見出して解決策を考えたり、思いや考えを基に創造したりすることに向かう過程を重視した学習の充実を各教科等の特質に応じて図ることが重要だとしている。  また、教科等横断的な学習を充実して、学習効果の最大化を図るカリキュラム・マネジメントに努めるよう求めている。 教科・科目の構成に関しては、国語科の科目構成を「現代の国語」「言語文化」「論理国語」「文学国語」「国語表現」「古典探究」の新しい6科目とし、うち「現代の国語」と「言語文化」(各2単位)を必履修科目としている。他の科目は各4単位。  地理歴史では「地理総合」と「歴史総合」を必履修科目としている。「地理総合」は地理的環境と人間の営みとの関わりに着目して現代の地理的諸課題を考察する科目。「歴史総合」は現代的諸課題の形成に関わる近現代(18世紀以降)の歴史を考察する。その際、世界とその中における日本を広く相互的な視野から捉えるのが特徴。これら必履修科目は、「地理探究」「日本史探究」「世界史探究」(いずれも選択科目)に繋がり、さらに専門的な視野から社会的事象等を広く深く探究する。地理歴史の5科目はいずれも新科目。  公民では、「公共」を必履修科目とし、その後、選択科目の「倫理」「政治・経済」に繋がる。いずれも新科目で2単位。「公共」は、社会に参画する主体として自立することや、他者と協働してより良い社会を形成すること等について考察する。討論や、ディベート、模擬裁判、模擬選挙等体験的な学びを行う。   数学、理科、保健体育、芸術の科目に大きな変更はない。  外国語・英語は英語による思考力・判断力・表現力を高めるため英語4技能を総合的に育成する「英語コミュニケーションT」「同U」「同V」と、スピーチやプレゼン等の言語活動が中心の「論理・表現T」「同U」「同V」の計6科目構成。専門教科「英語」の各科目も見直している。  家庭は新科目の「家庭基礎」と「家庭総合」の科目構成。両科目とも導入部として生涯の生活設計を扱う。  情報には「情報T」と「情報U」の科目が新設され、そのうち「情報T」が必履修科目。その中では全ての生徒がプログラミング、ネットワーク(情報セキュリティを含む)、データベース(データの活用)の基礎等について学習する。「情報U」は「情報T」の発展的な内容で、選択科目。  そのほか新教科「理数」が新設され、数学・理科にわたる探究的科目(新科目)「理数探究基礎」「理数探究」が設けられる。必履修科目ではない。「理数探究基礎」では、探究の意義や過程についての理解や研究倫理について理解、事象を分析するための基本的な技能、課題を設定するための基礎的な力、探究の過程を遂行する力等を育成する。「理数探究」では生徒が主体的に課題を設定し、大学や研究機関、博物館等と積極的に連携して探究、その成果等について報告等を作成する。  「理数探究基礎」または「理数探究」の履修をもって、「総合的な探究の時間」(総合的な学習の時間)の一部または全部に替えることができる。また理数に関する学科では原則として、「理数探究」を全ての生徒が履修しなくてはいけない。  教育内容としては、言語能力の確実な育成、理数教育・伝統や文化に関する教育・道徳教育・職業教育・外国語教育・主権者教育・消費者教育等を充実。部活動に関しては、持続可能な運営体制を目指す。

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