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記事2018年5月3日 2442号 (1面) 
私大連盟 「未来を先導する私立大学の将来像」公表
私大の役割等将来構想を提示し
実現に向け20の提言まとめる 

110法人124大学(4月1日現在)が加盟する一般社団法人日本私立大学連盟(会長=鎌田薫・早稲田大学総長)は4月24日、私立大学の自らの姿勢と高等教育の将来の方向性を示した提言『未来を先導する私立大学の将来像』を公表した。  同提言は、急速な産業構造の変化や少子・高齢化・グローバル化の進展など大学を取り巻く激しい環境変化の中で、私立大学の将来構想とそれを実現するための、(1)私立大学自身、(2)国・政府、(3)産業界に向けた計20の提言をまとめたもの。  大学など高等教育の在り方を巡っては、現在、文部科学省の中央教育審議会で大学分科会将来構想部会が中心となって、概ね2040年頃の社会を見据えて、目指すべき高等教育の在り方やそれを実現するための制度改正の方向性等を検討している。6月頃には中間報告が、今秋には答申がまとめられる予定。  同連盟では総合政策センター政策研究部門会議(部門長=田中優子・法政大学総長)が中心となって討議、中教審の答申等が出る前に、私立大学の将来構想等を公表したもの。同提言では、私立大学の将来構想については、「個や国家の思惑を超えて社会や世界に眼を向け、人間や地球環境のあり方をたえず問う批判的な精神により、今後の世界のリスクを回避できる多様性と実践的な教育を保持し続け、主体的で洞察力に富んだ思考力を育てる」「一部のエリートだけではなく、できるだけ多くの若者が高等教育を通じてその能力を大きく伸ばし、私立大学の多様な教育研究によって、国民の知的水準を底上げすること」などを重要な役割とし、先端的な研究を行うための場所・装置・仕組みなどは、国公私を超えた多くの研究者に提供し、大学院教育等で協働していく重要性を指摘。  また、可能な限り国私間の授業料の平準化を図ることを前提に、学生個人の能力や経済状態に応じた個人補助型の修学支援を充実させる体制への転換を求めている。  その上で、私立大学への提言(自らの姿勢)では、幅広い年齢層に及ぶ中核人材の教育機会を保障し、国民の知的水準を引き上げる固定的な類型化ではなく、自らが大学の「強み」や「特色」を明確にした上で、幾つかの機能や比重の置き方の違いによって緩やかに役割を分担し、多様性を確保する「日本だからこそ」の特色と各大学の特色の強化主体的で洞察力に富んだ思考力の育成に努める地方創生とグローバル化を一体のものとして考え、地方自治体や大学が海外留学を支援、海外からの留学生を地域ぐるみで受け入れる方法を検討する大都市圏の大学のリカレント教育、地方の大学のリカレント教育、世界中からアクセスできるオンデマンド型のリカレント教育を見据え、さまざまな方法によるリカレント教育を検討することを提言している。国による大学の類型化に私立大学には強い懸念がある。  また国・政府に対しては、私学助成と個人補助型の修学支援措置の拡充他大学との連携をしやすくする専任教員の雇用契約制度に関わる大学設置基準の見直しや、私立大学の主体的な連携・統合の手続きを簡便にする私立学校法の改正等を提言。  さらに産業界には、各私立大学の改革の実態を知った上での理解と評価地方創生への積極的参加社員のリカレント教育への参加の推進大学や大学院における成績を重視した採用活動等を提言している。

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