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全私学新聞

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記事2018年8月3日 2450号 (1面) 
国公私立学校間の支援格差是正を
全私学連合
文科省に来年度予算要望提出
新しい教育の実施に100%の財政支援を  私学の先進的取り組みにエンカレッジを

大学から幼稚園までの私学5団体で構成する全私学連合(鎌田薫代表=早稲田大学総長)は7月31日、文部科学省に林芳正大臣や宮川典子大臣政務官等を訪ね、来年度私立学校関係政府予算と税制改正に関する要望を手渡し、国の国公立学校に対する支援と私立学校への支援の格差是正や、国の進める「情報社会」に続く人類史上5番目の新しい社会、「Society(ソサエティ)5・0」の実現のための「新しい教育」実施予算に関しては2分の1補助ではなく100%の支援、私立学校の先進的な取り組みをエンカレッジする政策等を要請した。(私学団体の具体的要望事項は次号で)


 この日、大臣等を訪ねたのは、全私学連合を構成する日本私立大学団体連合会(鎌田薫会長)、日本私立短期大学協会(関口修会長=郡山女子大学短期大学部理事長・学長)、日本私立中学高等学校連合会(吉田晋会長=富士見丘中学高等学校理事長・校長)、日本私立小学校連合会(小泉清裕会長=昭和女子大学大学院文学研究科特任教授)、全日本私立幼稚園連合会(香川敬会長=鞠生幼稚園理事長・園長)の会長や事務局長等。日本私立学校振興・共済事業団の清家篤理事長も同席した。  この中で全私学連合代表を務める鎌田私大団体連会長は、国・私立大学間の授業料格差を取り上げ、同じように税金を払いながら、国立大学の学生・家庭には非常に手厚い支援がある一方、私立大学の学生・家庭は自費で授業料を負担、その格差が金額的に非常に大きくなってきているとして、格差是正を要望。また私大団体連の大沼淳副会長(文化学園大学理事長)は私立大学があることで国は財政負担が少なく済んでいること(全て国公立大学だと国の財政負担は増加)を挙げて、私学の要望への理解を要請した。  また中高連の吉田会長は新しい教育が始まりつつあるが、保護者負担は上げにくい状況であることを説明、ICT環境整備では必要な予算を確保して100%の支援を要請、私学関係者にも公平感を持たせてほしいと語った。  また、新しい教育実施のために早い段階から教育課程の縛りについてかなり柔軟性を持って対応させてほしいと訴えた。  これに対して林大臣は新しい学習指導要領には「Society(ソサエティ)5・0」の実現のための萌芽があり、それを伸ばしていく必要性を指摘、先生方の負担軽減も考え、デジタルでできるものはデジタルで行い、先生には児童生徒とフェース・ツー・フェースで手触りのあることをやっていただきたいと語った。香川会長は幼児教育の重要性への理解を大臣に要請した。  また、宮川大臣政務官との懇談では、高等教育費の負担を日本型HECS(前借り)制度で行う是非等が話題に上った。また日私小連の小泉会長が私立小学校が100年以上前から先駆的に取り組んできた英語教育など優れた教育成果や蓄積を積極的に公立学校に提供する考えのあることを説明、その面での支援を要請した。  さらに小松親次郎文部科学審議官、山脇良雄文部科学審議官、義本博司高等教育局長、村田善則高等教育局私学部長等を訪ね、国公私立学校間格差の是正のため大胆な教育予算の見直し等を要請した。文部科学省の幹部との懇談では、私学関係者から展望を開くことのできる政策や、私学関係者の存亡を懸けた先進的な取り組みのスピードを鈍らせては日本全体の教育の改革、質の向上達成は難しくなるばかりか、右肩下がりの危険性をはらんでいることなどが語られた。一方、文科省の幹部からは来年、再来年ではなく、10年先、20年先を見越しての議論やそうした時代感覚での政策遂行の重要性等が指摘された。

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