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記事2019年10月3日 2489号 (1面) 
通信制への期待と規制強化を求める意見交錯
通信制高校の質の確保・向上議論再開
ガイドラインを再改訂か
逐条解説が必要との意見も

文部科学省は10月1日、都内で「通信制高等学校の質の確保・向上に関する調査研究協力者会議」の第1回会合を開いた。平成28年7月から昨年2月まで活動した会議の後継会議だが、今回は会議名から「広域」の名称がなくなった。前回に続き荒瀬克己・大谷大学文学部教授が座長に就任している。


初会合では、不適切な指導で社会に大きな衝撃を与えたウィッツ青山学園高校問題(株式会社立広域通信制高校)をきっかけとして始まった、高校通信教育の質の確保・向上のためのガイドラインづくりなど一連の改革が文科省から説明されたほか、委員で公立高校長時代に通信制高校を立ち上げるなど通信制高校に14、15年携わってきた時乗洋昭・山手学院高校長が同省の通信制高校を対象とした点検調査に参加して明らかになった、「学校現場はガイドラインの理解が必ずしも十分でない」、「添削指導回数が不足している」、「課題の評価でWEB上で自動採点機能を使い生徒に返している学校がある」ことなどから所轄庁はガイドラインに基づく指導・監督を一層強化すべきだとした一方で、所轄庁の指導体制が脆弱で指導・監督を十分に行うには課題があることも指摘した。  今年5月17日の教育再生実行会議の第11次提言では新時代に対応した高校改革の一環として定時制・通信制課程が多様な背景を持つ生徒の受け皿となっている実態を把握し、その変化に応じた教育の質の向上や生徒支援の方策を総合的に検討することや、生徒が自らキャリアをしっかりと描き、多様な進路を実現できるよう、国は、必要な社会的スキル等を育成できるよう制度や運用の在り方について検討すること、「高校生のための学びの基礎診断」(文部科学省が認証した民間のテスト)の活用促進や広域通信制高校における第三者評価の在り方の実証研究結果等を踏まえ、さらなる質の確保・向上の取り組みを国に対して求めていた。  同調査研究協力者会議が第2回会議以降に審議する具体的論点は初会合では示されなかったが、論点整理案は今後、同省から提示される見通し。  この日は初会合ということもあって荒瀬座長は11人の委員全員に発言を求めた。委員からは、新たな時代の教育に関して通信制高校の持つ可能性を評価する意見、可能性を広げるためのガイドラインの見直しが必要といった意見が複数聞かれた。その一方で質の確保・向上のためのガイドラインが策定され、改訂された現在も、「ガイドラインを読んでいない学校がある」、「提出すべきリポートは穴埋め式」、「年間を通して行うべき面接指導を3泊4日に集中させ、8月には単位認定を行っている」など教育の質の面では今なお課題があり、所管する都道府県も担当者が少ないため十分に目が届かないことなどが指摘され、また「通信制も高校としてやるべきことをやっていくべきだ」、「よい事例を取り入れるなどしてガイドラインの精緻化が必要」、「多様性の確保ばかりを考え、共通性の確保に至っていないのは問題」、「通信制高校にガイドラインを浸透させるため、逐条解説が必要だ。教員研修も必要でスクーリングの意義を学んだことのない教員もいる」といった意見、学校側が安易な教育を求め生徒側も安易な学習(卒業)を求め利害が一致している点が問題と指摘する意見、規制強化の必要性を指摘する意見も聞かれた。さらにこうした問題については広域通信制高校が全国複数の都道府県で教育を展開していることから、国の関与の重要性を指摘する意見も聞かれた。通信制高校に関しては、第三者評価制度の導入が検討される見通しだが、その前段階の関係者評価すらきちんとなされていない点を指摘する意見、ウィッツ青山学園高校問題以降、所轄庁の指導体制が充実しているのか、との質問も聞かれた。  こうした意見に文部科学省は国、都道府県、学校といったプレーヤーごとに課題を整理してガイドラインを改訂する意向を明らかにし、荒瀬座長も「大人の責任が問われている。ガイドラインが良くなり、取り組みがしっかりしていくことができるか問われている」と語った。

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