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記事2019年11月13日 2493号 (1面) 
英語4技能の重要性、認識共有 衆議院文部科学委員会
英語4技能の重要性、認識共有 衆議院文部科学委員会
吉田中高連会長が意見表明 
大学に早急な方針公表求める

11月5日、衆議院の文部科学委員会(橘慶一郎委員長)が開かれ、文教行政の基本施策(高大接続改革)、特に11月1日に萩生田光一文部科学大臣が令和2年度からの実施延期、制度の抜本的見直しを表明した「大学入学共通テストへの英語民間試験導入」等について、高校団体代表ら4人の参考人を招致して質疑を行った。参考人として意見を述べたのは、日本私立中学高等学校連合会の吉田晋会長(富士見丘中学・高校理事長・校長)、全国高等学校長協会の萩原聡会長(東京都立西高校長)、株式会社ベネッセコーポレーションの山ア昌樹学校カンパニー長、京都工芸繊維大学の羽藤由美教授。


参考人一番手として、意見を述べた吉田中高連会長は、今回の突然の実施延期について、「試験の準備をしてきた生徒に申し訳ないと思う。今朝、朝礼で英語の4技能をバランスよく伸ばすことの大切さに変わりはないこと、4技能をさらに活用して生かすよう話してきた」とした上で、そもそも論として、旧民主党政権下の平成24年8月に始まったこの問題は、さまざまな会議体での審議、決定を経て決まったことであること、国家公務員試験の2次試験でも英語民間試験の結果によって加点が行われ、しかも過去5年遡って試験結果を活用できること、受験費用を補助して民間英語試験受験を促進している県もあること、何より大学が個別入試でどの英語民間試験を活用するかいち早くはっきりさせることが重要なことなどを訴え、これまで英語民間試験受験に向け勉強を続けてきた生徒のショックを和らげる方策を要請した。  また、全高長の萩原会長は、民間英語試験については学習指導要領との整合性、経済格差、地域格差から問題があることを指摘、二度にわたって文部科学大臣に要望書を提出したものの、懸念や課題解消には程遠い状況の中で制度の延期・見直しを求めてきた経緯を説明、今後は大学入試で英語4技能を正しく評価できるシステム構築に協力したいと述べた。  文部科学省が認めた英語民間試験の一つであるGTECの実施団体であるベネッセコーポレーションの山ア氏は、試験実施の準備状況について説明。全国350会場での試験実施のメドが立っていたことなどを説明した上で、「日本の英語力は危機的状況。一層の努力を重ねていく」と語った。  羽藤教授はそもそも制度設計が間違っており、2017年5月には英語民間試験活用は難しいことと見えていたこと、多くの研究者が反対していたこと、英語の評価を民間に丸ごと委ねるべきではなく、大学入試センターが中心的役割を果たすべきで、専門家の英知を結集して実現可能な最適解を出すべきだとした。  その後、文部科学委員会の議員との質疑が行われ、自民党の中村裕之議員からの質問に中高連の吉田会長は、私学の生徒は裕福で試験を何度も受けられるという訳ではないこと、英語力の低い生徒も数多くいることなどを説明、改めて各大学に入試に関して早急にどの試験を使うかなどの方向性を打ち出してほしいと訴えた。野党の菊田真紀子議員(立国社)は民間試験の取り扱いなどを定めた独立行政法人大学入試センター法の一部改正案を10月に国会に提出したことなどを説明。共産党の畑野君枝議員の大学入学共通テストにおける記述式問題導入についての質問に、吉田中高連会長は、1点刻みからの脱却を目指して導入されたものだとし、試験では正解のないような問題を判断できる力こそ見るべきで、評価は各大学が行うべきと回答した。

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