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記事2019年11月3日 2492号 (1面) 
日短協が秋季定期総会開く
関口会長「新たな短大制度等検討の時期」
文科省が所管事項など説明

日本私立短期大学協会(会長=関口修・郡山女子大学短期大学部理事長・学長)は10月17日、横浜市の横浜ベイシェラトンホテル&タワーズで令和元年度秋季定期総会を開催した。文部科学省による説明や中央教育審議会の審議状況報告等が行われた。開会あいさつで関口会長は、「皆さんの声を頂きながら一致団結し、新たな短期大学、その制度の在り方、対応の仕方についても検討すべき時期に来ていると思う」と述べた。来賓あいさつでは伯井美徳・高等教育局長が「昨年11月の中教審答申で短期大学について今後、社会人へのリカレント教育を通じた地域貢献や、地域に必要な高等教育機関として教育の質を高めていくことが重要だと示された。短期大学の実績をさらに伸長させ、教育研究のさらなる充実を図っていくことが重要だと考えている」と述べた。


文部科学省説明では、初めに西田憲史・文部科学省高等教育局大学振興課長が、短期大学を巡る文教施策について概略以下のように報告した。        平成30年11月の中教審答申を基にさまざまな制度改正をした。法改正として、一つは大学等における修学支援に関する法律。住民税非課税世帯および準ずる世帯の学生を対象に、進学前の明確な進路意識と強い学びの意欲、進学後の十分な学修状況を見極めた上で、授業料減免、給付型奨学金を併せて措置する。  また学校教育法の一部改正を行った。内容は、認証評価において適合か否かの認定を義務付けること、不適合と認定した大学等に対して文部科学大臣が報告または資料の提出を求めるというもので、国立大学法人法の一部改正も行った。  私立学校法の一部改正では、学校法人の役員の職務および責任に関する規定の整備等を行った。  8月には大学設置基準を改正。一つは学部等連係課程実施基本組織として学部等の枠を超えた学位プログラムを設置可能とした。二つ目は履修証明プログラムへの単位授与、学修証明書の交付。  教育の質の保証と情報公表では、教学マネジメント特別委員会で教学マネジメント指針の策定に向けて議論が進められている。高大接続・入試改革のうち、入試改革について、2020年度からは大学入学共通テストとなる。変わるのは国語・数学で記述式問題を入れることなど。個別選抜も新たなルールを設定する。        文科省説明では続いて井上睦子・私学部私学助成課長が、令和2年度私学助成関係予算の概算要求等について、概略以下のように報告した。        台風被害について、激甚災害指定となれば補正予算となる、安心して復旧に取り組んでほしい。  令和2年度概算要求は、前年度と比べ私立大学等経常費補助は35億円増の3194億円、一般補助で31億円増、特別補助で4億円増となっている。大学等の耐震化率は9割を超えてもう一息となった。耐震化等の促進で225億円増の275億円を要求している。  改革総合支援事業については採択校数を増やしたい。特にタイプ1は「Society5・0の実現等に向けた特色ある教育の展開」として、Society5・0時代に求められる力を養う、文理横断的な教育プログラムの実施、リベラルアーツ教育の推進、各専門分野の特性に応じたAI、数理、データサイエンス等に関する教育の導入等、それらに取り組む大学に特別補助で支援していこうという要求だ。タイプ3「地域社会への貢献」では特に一つの大学が一つの自治体と連携していくものにも支援したい。  大学院等の機能の高度化への支援の中に、短期大学等の機能の高度化の支援も入っている。  福島県の私立大学へは、復興特別会計の中で5億円を要求、授業料減免、学生募集経費等の支援をしたい。       文部科学省説明の3番手は、小川哲史・高等教育局学生・留学生課高等教育修学支援準備室長で、高等教育の修学支援新制度について概略以下のように報告した。       今回の修学支援新制度の対象となる学校は9月20日に公表した。文科省の特設サイトに一覧で掲載している。修学支援新制度は授業料等減免制度と給付型奨学金の2本立て。対象は住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯の学生。授業料等減免の上限額は私立短大が入学金約25万円、授業料年額約62万円。給付型奨学金は、私立短大は自宅生年額約46万円、自宅外生年額約91万円を支援する。住民税非課税世帯は満額が支給されるが、それより少し世帯年収が上の世帯は3分の2、3分の1が支給される。  給付型奨学金の申し込みは、高校3年生は既に受付が終わった。年末には決定する予定で、来年4月進学後、正式に採用決定となる。在学生は11月1日から30日まで申し込みを受け付ける。なお、今回申し込みを忘れた人も、来年4月に申し込むことができるが、支援が遅れるのでなるべく今回申し込んでほしい。  対象となる学生は要件を満たしていれば全て採用となる。予算が足りないといって絞り込むことはない。給付型奨学金については、既に機構の奨学金を受けている人も自動的に切り替わるわけではないので、所得要件があるため全てが対象になるわけではないが、必ず申し込みをすること。  在学中もしっかり適格認定する。特に学修意欲に関する要件は厳しく設定されており、最悪の場合、支援の打ち切りとなる。ただ「警告」の場合の(2)成績が下位4分の1、については斟酌(しんしゃく)すべきやむを得ない事情がある場合の特例措置を年内に省令で示す予定だ。  給付型奨学金については同様の支援制度を受けている場合は給付型奨学金は受けられない。ただし授業料減免は受けられる。これ以外の自治体や大学の奨学金との併給制限はない。また民間の奨学金では制限がある場合もある。

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