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全私学新聞

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記事2019年12月3日 2495号 (1面) 
私学振興協議会を開催 全私学連合
“寄附促進のための措置拡充を” 
自民党文教関係議員と意見交換

長谷山彰・全私学連合・日本私立大学団体連合会長(慶應義塾長)と河村建夫・元文部科学大臣(衆議院議員)が共同代表を務める「私学振興協議会」が11月21日、都内で開かれ、2020年度政府予算案編成等が大詰め段階を迎えるのを前に私学団体代表から寄附金に係る税制の改善や私立学校関係予算の拡充などが要望されたほか、私立学校を取り巻く状況を巡って意見交換が行われた。


この協議会は全私学連合を構成する幼稚園から大学までの5団体の代表と与党・自由民主党の現職の文部科学部会長、文部科学(文部)大臣経験議員、文部科学(文教)部会長経験議員が私学振興の在り方を協議する場。  冒頭、あいさつした長谷山共同代表は、「戦後、私立の大学が日本の高度経済成長に必要な高度人材の育成を担ってきた。初等、中等教育段階もそれを支えてきた。ただ少子高齢化やグローバル化の進展の中で私立の学校を取り巻く環境も大きく変わっている。それぞれの学校あるいは私学全体が大きな課題を抱えている」などと述べた上で、出席の議員に忌憚のない意見、指導を要請した。  一方、河村共同代表は、「今日からはいよいよ税制の協議が始まる。大型補正予算案の話も出ている。特に耐震化等々は公立に比べ私立はやや遅れている点もある。そうした遅れを取り返すチャンスではないか、と思っている」と語った。  続いて高階恵美子・自民党文部科学部会長があいさつ。「いよいよ決戦の時を迎えようとしている今、先生方の声をしっかり伺い、先につながる予算、税制改正で勝利を勝ち取るべく頑張りたい」と決意を表明した。  このあと各私学団体代表から要望内容等が説明された。まず全私学連合の長谷山代表が、令和2年度税制改正の最重点要望事項を説明、「個人が学校法人に寄附を行った場合における税額控除の控除率を現行の40%から45%に引き上げて、高所得者の控除率に合わせて低中所得者の寄付金控除を拡充して寄附の裾野が広がり、寄附文化の醸成につながることを期待している」と語った。  また、私大団体連会長として大学関係予算要望については、「公財政支出の学生1人当たりの額は国私間で13倍もの格差が生じている。また今回、新たな修学支援制度の導入は大変大きな一歩と感じているが、国立大学の学生は学費が全額無償、私立大学の学生は50万円から450万円の自己負担が生じる。私立大学の学生の教育費負担を軽減して経済格差と教育格差の負の連鎖を断ち切ることが喫緊の課題だ」と訴えた。続けて私立大学の研究設備関係予算については、「全体として見れば、この10年で118億円から71億円へと40%減少。また大学には文化財に指定された建造物等も存在するため耐震化率100%の補助対象要件の見直し、私立大学の施設設備整備推進に係る補助金の拡充を是非お願いしたい」などと語った。  私大団体連の福井直敬副会長(武蔵野音楽大学理事長・学長)は、「経常費補助金はすべての大学にとって、ある意味平等な支援。是非ともそのことを心に置いて頂きたい。施設設備についても先生方のお力添えを賜りたい。税額控除については、年末調整ができる方向に考えて」と要望した。  日本私立短期大学協会関口修会長(郡山女子大学短期大学部理事長・学長)は、「短期大学として当面苦労しているのは国際的通用性、名称に短期という期間を設定している大学は世界中どこにもない。それに伴い学位の名称も短期大学士。これを変えていかなければいけない。また、経常費補助の中の特別補助の選考では、短期大学の脆弱な資源では対応できない要件がある。地域創生の観点からは短期大学の持っているリソースを上手に使えるようお願いしたい」と語った。  日本私立中学高等学校連合会の吉田晋会長(富士見丘中学高等学校理事長・校長)は、「私立高等学校等の経常費助成費等に対する補助については是非満額の回答をお願いしたい。文科省はパソコン整備関係等で30億円の概算要求をしているが、満額達成をお願いしたい。それとGIGAスクールネットワーク構想の実現は本当に必要だと思っている。電話局系の企業には教育に対して通信料を無料にしてくれるようなことがあれば(教育のICT化は)簡単にできる。私立学校におけるパソコン等整備に関しても2分の1補助ではなく、是非、教科書無償化と同様に100%(補助)をお願いしたい」と語った。また、「耐震化については、補助率等で都道府県を含めてご協力を、私立高校、小・中学校の就学支援金は概算要求通りにお願いしたい」とし、大学入学共通テストの問題では「高校2年生がこの段階で迷子にさせられていることは許し難い状況」と語り、国会議員や大学関係者に協力を要請した。  日本私立小学校連合会小泉清裕会長(昭和女子大学大学院文学研究科特任教授)は21世紀型の教育のために経常費補助の増額、教員研修への支援を要請。新しい英語教育、外国語教育に関して、私立小学校の実践を参考にしてほしいとも語った。  全日本私立幼稚園連合会の香川敬会長(鞠生幼稚園理事長・園長)は「教育の質を無視した、コンビニエンスなものだけを求める保護者がどんどん増えている。幼児教育の質をもう一度見直してほしい。幼児教育振興法の一日も早い成立をお願いしたい」と語った。

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