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記事2019年3月23日 2471号 (1面) 
865校に約3,166億円配分
私学事業団 私大等経常費補助金交付状況を公表
平成30年度 学生1人当たりで大学は15万3千円
59校は未完成や申請なしなどで不交付 

日本私立学校振興・共済事業団(清家篤理事長)は3月20日、平成30年度私立大学等経常費補助金の交付状況を公表した。それによると、補助金の交付を受けたのは、全国の私立の大学、短期大学、高等専門学校計924校中の865校で、交付総額は、前年度比2億2244万5千円減の3166億1813万円だった。残る59校は、大学等設置後、完成年度(修業年限)を超えていない、あるいは学生募集を停止、申請がない等の事由により不交付だった。また学校法人の不適切な管理運営等を理由に11法人が補助金の減額措置を受けた。(3面に関連表)


補助金交付額を学生1人当たりに換算すると、大学で15万3千円、短大で17万2千円、高専で20万円。大学、短期大学は前年度比で減額となり、高専は増額となった。ちなみに国立大学生1人当たりの公財政支出額(2014年)は約202万円で、国私間には約13倍の格差が生じている。  私立大学等経常費補助金は、昭和50年に議員立法で成立した私立学校振興助成法が法的根拠となっているが、補助率(私立大学等の経常的経費に占める同補助金の割合)はピークとなった昭和55年(29・5%)以降、漸減傾向が止まらず、平成27年度の当初予算では初めて1桁台の9・9%となり、同法が制定される以前の水準の補助率となっている。同法は補助率50%を目標としているが法の理念とは懸け離れた状況と言える。  同補助金の平成30年度交付額を1校当たりに換算すると、大学が5億1844万4千円(前年度比0・9%増)、短大が6932万1千円(同6・7%減)、高専が1億3810万2千円(同2・9%減)だった。  これと比べ国立大学の1大学当たりの平均公費投入額は約143億円(平成24年度)。このほか授業料軽減制度でも13倍近い国私間格差が生じている。  平成30年度の私立大学等経常費補助金交付総額3166億1813万円の内、教職員数や学生数等に所定の単価を乗じて得た基準額を教育研究条件の状況に応じて傾斜配分する「一般補助」が2713億9651万9千円、教育研究に関する特色ある取り組みに応じて配分する「特別補助」が452億2161万1千円。前年度に比べ一般補助は増額、特別補助は減額となった。  特別補助は前年度と比べ減額したが、「大学等の国際交流の基盤整備」と「授業料減免及び学生の経済的支援体制の充実」の項目では前年度比増額となった。  このほか「平成30年7月豪雨等からの復興支援」(交付額1億9423万1千円)と「平成30年北海道胆振東部地震からの復興支援」(同2933万8千円)が新設・配分された。  一方、補助金が交付されなかった59校の事由別内訳は、設置後完成年度(修業年限)を超えていない「未完成」が14校、「募集停止」が14校、「他省庁補助」が2校、「申請なし」が26校、「管理運営不適正」が1校、「その他」が2校(放送大学、沖縄科学技術大学院大学、文部科学省が直接補助)だった。そのほか8法人が不適切な入学者選抜や学校法人の不適正な管理運営で新規に補助金の減額措置(25〜50%)を受け、また前年度以前に補助金の減額措置を受け、30年度に措置が緩和(25%の減額措置に)された法人が3あった。  大学別の補助金交付額では、早稲田大学が第1位で一般補助と特別補助を合わせた額は97億3072万5千円で、群を抜いて特別補助を獲得している。一方、最も補助交付額の少ない大学は約839万円だった。

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