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記事2019年7月3日 2481号 (1面) 
新時代の義務教育、教師の在り方、教育環境整備
優先的に審議し、年末までに「論点取りまとめ」
新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会が初会合
文部科学省 高校教育の在り方はWGで検討  普通科の類型化には疑問の声

柴山昌彦・文部科学大臣の今年4月17日の諮問を受けて、中央教育審議会初等中等教育分科会の「新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会」の初会合が6月27日、東京・千代田区の都道府県会館で開かれ、部会長に荒瀬克己・大谷大学文学部教授が選任された。また、同部会の下に新しい時代の高等学校教育の在り方に関するワーキンググループ(以下、「高校WG」と表記)を設けることも決まった。


 今回の諮問事項は極めて多岐にわたっているが、そのうち「新時代に対応した義務教育の在り方」と「これからの時代に応じた教師の在り方、教育環境の整備等」を優先的に審議し、年末までに「論点取りまとめ」として今後の検討の方向性を策定、初等中等教育分科会で審議の上、来年1月以降の教育課程部会、教員養成部会、特別部会の具体的な検討事項を整理することにしている。また、来年1月以降、教育課程部会、教員養成部会、特別部会、初等中等教育分科会が連携して審議を深めていく。  諮問事項の中の「新時代に対応した高等学校教育の在り方」に関しては、今後、発足する高校WGで、生徒の学習意欲を喚起し能力を最大限伸ばすための普通科改革など学科の在り方、時代の変化・役割の変化に応じた定時制・通信制課程の在り方、地域社会や高等教育機関との協働による高校教育の在り方を中心に審議を進め、今年中に検討状況を特別部会に報告する。「STEAM教育の推進」などその他の諮問事項については主に特別部会や教育課程部等で審議する。  さらに諮問事項のうち、「増加する外国人児童生徒等への教育の在り方」に関しては、同省がこのほど設置、6月27日に初会合を開いた外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議で検討を進め、今年中に検討状況を特別部会に報告することにしている。  特別部会については、7月24日に、第2回部会を、8月下旬から9月上旬にかけて第3回部会を開く予定が決まっており、9月中下旬、初等中等教育分科会に検討状況を報告した後、10月から11月に第4回部会を、11月から12月に第5回部会を開き、論点取りまとめを行う予定。  6月27日の第1回部会は初会合ということから、出席した委員が検討の進め方や諮問事項に関する意見などを述べた。  このうちICT機器の整備に関しては複数の委員が言及し、「(地方交付税措置で財源が手当てされているにもかかわらず)全く予算が付いていない自治体もある。通信環境は全く悪い」、「(個別最適化された教育の実施に関して、)教員の数を考えているのか。また、オンライン・スピーキングを行うとどこか回線が切れたりする。パソコンを持たせた場合、子供たちに指導できるのか。基本を決め、広めた上でやってほしい。予算措置なしで予定だけ組むことはあり得ない」、「機器があっても先生にモチベーションがないと生徒に届かない」、また地方の厳しい状況も報告され、「ものすごい勢いで小学校が減少している。遠い学校にバス通学しており、EdTechは希望。低学力層の子供ほど楽しいと言っている。先生はファシリテーターになるべきだ」などの意見が聞かれた。  その他、「習熟度別学習にはeLearningをいつまでに導入するかという目標を設けるべきだ」といった意見も出された。また高校教育の在り方については、「大学入試も考えるべきで、受検と切り離した高校教育ができないのか。高校普通科の類型化については慎重な対応が必要で、生徒の同質性を高めてしまう。類型化するにしても柔軟性ある制度にしてほしい」「高校についてあまり類型化してほしくない。類型にしても類型間を移動できるようにしてほしい」などの意見が聞かれた。  その他、児童が数多くの教員と出会えるよう教科担任制の拡大を求める意見、働き方改革に絡んで、学校での業務量に応じた人員の配置を求める意見、授業の高度化が求められている中で、授業準備の時間も勤務時間の中に含めるべきだといった意見も出された。

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