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記事2019年8月3日 2484号 (1面) 
中教審・新しい時代の高校教育の在り方WGが初会合
普通科改革等を先行検討 10、11月には特別部会に報告

中央教育審議会初等中等教育分科会・新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会の下に、6月27日に設置された「新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループ」の第1回会合が7月25日、都内で開かれた。4月17日の柴山昌彦文部科学大臣の中教審への諮問のうち主に高校改革を検討するWGで、委員は15人。荒瀬克己・大谷大学文学部教授が主査、橋本幸三・京都府教育委員会教育長が副主査に就任した。委員には長塚篤夫・順天中学校・高校長、跡部清・成蹊中学校・高校長、鍛治田千文・YMCA学院高校長ら私学関係者も参加しており、普通科など学科の在り方の見直し、通信制課程では設置基準の見直しにまで踏み込むのかなどが焦点といえる。


冒頭、荒瀬主査のあいさつの後、文部科学省を代表して矢野和彦・大臣官房審議官(初等中等教育局担当)があいさつし、高校生の自己肯定感が低いことや学習時間が少なく、大学受験以外の科目を学ばないことなど今回の改革の要因となった高校教育を巡る課題を指摘。高校の全体像の見直しは四半世紀ぶりで、また通信制高校に関しては数年前にウイッツ青山高校問題が発生したことを挙げ、教育の質をどう担保するかが大きな課題の一つで、実効性のある改革実現の必要性を強調した。その後、4月の諮問の検討事項や同WGにおける三つの検討事項と検討の進め方が文科省から説明された。三つの検討事項とは、(1)生徒の学習意欲を喚起し能力を最大限伸ばすための普通科改革など学科の在り方、(2)地域社会や高等教育機関との協働による教育の在り方、(3)時代・役割の変化に応じた定時制・通信制課程の在り方。  同WGでは、そのほか、(4)いわゆる文系・理系の類型にかかわらず学習指導要領に定められた様々な科目をバランスよく学ぶことや、STEAM教育の推進、(5)特定分野に特異な才能を持つ者や障害のある者を含む特別な配慮を要する生徒に対する指導及び支援の在り方など、生徒一人一人の能力、適性に応じた指導の在り方については、中教審の教育課程部会や新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会で主に検討するが、高校教育WGもそれらの検討状況を共有、検討する。  同WGは月に1回程度開催し、今年10月又は11月を目途に、新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会に検討状況を報告する。その際、まずは検討課題の(1)と(2)を中心に扱い、その後、(3)と、(1)(2)で更なる検討が必要な論点を検討していく。  文科省による関連資料の説明が終了した後、初会合ということで委員によるフリー討議が行われた。橋本委員(京都府教育長)は普通科、専門学科、総合学科に関して段階のない、学科のないものができないかなどと提案。岩本委員(一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォーム共同代表・島根県教育魅力化特命官)は地域での各種団体との連携協働体制づくりでポイントとなる点などを説明。香山委員(岡山県立和気閑谷高校長)は地域の人口減から高校の全国募集への思いなどを、山口委員(神奈川県立厚木清南高校長)は、同校には全日制課程、定時制課程、通信制課程の3課程があり、不登校経験者等を社会に繋げていきたいとの思いを語った。  長塚委員は学習指導要領について合教科や教科横断的な学びができるよう大綱化の必要性を指摘、学校設定科目でも自由にできる部分があること、通信制課程に関しては、かつてのような勤労学生がいなくなり、社会性の育成が課題であり、また全日制と区別がつかない状況ながら、設置基準は全日制を大きく下回る基準にあることなどを指摘。跡部委員は教育が経済理論の中に組み込まれて効率の良さが求められているが、失敗を恐れずいろんなことに触れて、チャレンジする重要性などを強調。角田委員(リクルート進学総研「キャリアガイダンス」編集顧問)は、うまくいかなかったことが自分の力になること、トライアンドエラーを重要視して、教員にも適用してほしい、などと語った。  同WGの委員は15人。地域起こしに向け地方公立高校の活性化、高校の地域との協働などを行っている委員、地域起こしで全国的に注目を集めている自治体の首長の委員などが目立っており、また学科の見直し、通信制課程の見直しに当たって参考となる取り組みを行っている高校長も数多く委員として参加している。

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