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記事2020年4月23日 2508号 (1面) 
授業目的公衆送信補償金制度 2020年度は無償に
コロナにより遠隔授業の必要性高まり
特例措置、“来年度は有償”

 2018年5月の著作権法改正で創設された「授業目的公衆送信補償金制度」は今年4月28日から運用を開始することが閣議で決まったが、新型コロナウイルスによる学校休校等で遠隔授業等の必要性が高まっていることや、与党・自由民主党からの提言等もあって、2020年度については特例として補償金を無償とすることになった。

 この制度はインターネットを利用した授業で文学作品や写真等の著作物を利用した教材を無許諾で送信(=授業目的公衆送信)することができ、教育機関の設置者(学校法人等)は、一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会に補償金を支払えばいいというものだが、2020年度は緊急事態ということから、学校が支払わなくてはいけない補償金は無償となった。

 ただし同協会は2021年度については有償として、文化庁長官に保証金額の認可申請をすることにしている。

 学校内では著作物を利用した教材の紙のコピーを教師が生徒に配ることについては問題はないが、インターネットを経由して生徒が自宅で予習・復習できるよう著作物を利用した教材等を配信することや、同様に遠隔地の教室に配信することについては、この制度の対象となる。

 小学校から大学、専修学校等までの国公私立学校関係団体や公益社団法人日本文藝家協会などの権利者団体等で構成する著作物の教育利用に関する関係者フォーラムは4月16日、改正著作権法第35条運用指針(令和2〈2020〉年度版)を公表。また新制度を利用する教育機関の設置者は事前に(事前が難しい場合は利用開始後速やかに)同協会に対して、その教育機関名の届け出を行い、協会は教育機関に過度な負担がかからない範囲で著作物の利用実績を把握するため、教育機関の協力を得てサンプル調査を行うこと、実施方法については同協会が教育機関と相談しつつ整理することになった。

 さらに2021年度以降については教育関係団体への意見聴取を経て補償金額の認可申請を文化庁長官にすることにしている。
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