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記事2021年7月13日 2550号 (6面)
東京理科大学の取り組み
流山市のプログラミング教育で産官学連携
内田洋行とソニー・インタラクティブエンタテインメントも協力

 東京理科大学(東京都新宿区)は、千葉県流山市立の小中学校で7月から始まる「先進的統合型プログラミング教育(以下同教育)」について、同市および協力会社である鞄燗c洋行(東京都中央区)および潟\ニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE、同港区)と産官学連携で取り組むこととなり、6月30日、同市内で4者合同の記者発表会を行った。


 同教育は同市で2020年に策定された「流山市GIGAスクール構想」を進める中、同大学が小中の9年間で同教育を実践する計画を提案したことから始まった。SIEのロボットプログラミング機器「toio(トイオ)」を活用して、同大学と内田洋行がカリキュラムや指導案・オリジナル教材を開発するほか、SIEも継続的な機材提供とサポートを行っていく。 


 会では初めに井崎義治・同市長があいさつ。新規鉄道路線の開業後、若年子育て世代の増加が進み合計特殊出生率も県内1位となった同市では、子供の増加による教育の質の充実が最重要課題の一つとなっている。同教育は子供たちが自分で問題を解決し学びに対し好奇心を持つ力を伸ばすことを目指しており、井崎市長は「この特色ある教育を学んだ児童生徒が次の日本のイノベーションを起こすことを願っている」と語った。 


 続いて井手本康・同大学副学長(理工学部教授)が、同大学と同市との連携について説明。昨年から同市および同市に隣接し同大学のキャンパスがある同県野田市と包括連携協定を結んでおり、コロナ禍で進められなかった活動を今年から本格的に開始。高齢者の健康や地域防災をテーマとした双方向型講演会の実施と同時に流山市とも数人の教員が同市の顧問や委員を務めるなど協力を行っている。また野田キャンパスにある同学部では地域や産業界と連携して研究成果を実社会に反映させる学問分野横断型の組織を設ける予定で、同教育もその一環として行われる。 


 次に田中弘美・同市教育長が同教育の経緯・背景や今後の予定を紹介。前述の内容のほか、同市が同大学へ依頼しICT教育推進のための委員会を設置し、その中から同市のGIGAスクール構想が策定されたことや、助言を求めたところ産官学連携による同教育の提案を受けたことなどを話した。7月から市内の小中学校4校を対象にトイオを用いた同大学教員・学生による支援を受け、その成果を踏まえ同市のプログラミング教育の方向性を図るとしている。 


 そして、同市のICT教育推進顧問を務め、同教育の提案を行った滝本宗宏・理工学部副学部長(同学部教授)が意義や内容について説明。情報化社会では現実世界の学びのほかコンピューターやネットワークがプログラムによって動くといった電脳世界の学びも必要となる。現実社会の学びでは道具を用いるなど体感による学びが可能な一方、プログラミングは手で触れるものでもなく、そこでロボットなど体感できる教材がいくつか開発されているが、モーターを回すなど本質的でない設定が多く見受けられる。その中でトイオはそうした設定が省けプログラムからの直感と一致した動きができ、複数のプログラミング言語にも対応し学年段階のステップアップも可能なことから採用を決めたと話した。さらに同大学の学生もサポーターとして小中学校へ派遣されるほか、小中学校の教員が同大学へ研修に来てもらうことも予定しており、ICT教育における好循環が実現できるとも語った。


  後半では協力会社2社のあいさつも行われ、大久保昇・内田洋行社長は「大変な時代を迎える中でいかにイノベーションを生み出していくかが大事だ。子育て最先端のまちを目指す同市で一助になり貢献できればと思っている」、伊藤雅康・SIE副社長は「トイオは多くの教育機関から高評価をもらっている。子供たちが自分で考え問題を解決し夢をかなえるために役立ててもらえたら、これほどうれしいことはない」とそれぞれ述べた。


今回の教育で採用される「トイオ」


井崎市長(右から3人目)、井手本副学長(同2人目)ら出席者一同

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