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記事2021年8月3日 2552号 (6面)
愛知学院大学の取り組み
過疎化が進む町の農産物を使った子供向けレシピ考案
学生と町民がオンラインで集まって報告会実施

 愛知学院大学(愛知県日進市)は、心身科学部健康栄養学科の学生および同大学が実施している「アウトキャンパス事業」に昨年度参加した同学科以外の学生が、昨秋から同大学の連携先である北海道厚沢部(あっさぶ)町の特産品を使ったスポーツをする子供向けの料理レシピの考案・開発に取り組み、今年3月にそれらを取りまとめた冊子を完成させた。6月21日、担当した教員・学生、同町の関係者や農産物の生産者がオンライン上に集い、報告会を実施した。


 同大学は過疎化が進む同町と協力し、農業の体験を通じて学生が住民と交流し地域活性化を図るアウトキャンパス事業を2013年から実施。1週間訪問して農産加工品のオンラインショップ立ち上げや同町の道の駅での販売促進の手伝いを行ってきた。しかし昨年度はコロナ禍で現地での交流活動が中止となり、代わりに同町の農産物を活用したレシピを開発することになった。


 そこに既存のレシピ集との違いをアピールすべくスポーツに励む子供たちを応援するというコンセプトを取り入れることとなり、酒井映子・同学科元教授、堀内容子・同准教授、森裕子・同非常勤講師(スポーツ栄養学演習を担当)の協力を得て、学生がスポーツ栄養学の観点に基づいたレシピの考案を昨年10月から開始。生産者へオンラインでのインタビューも行い、栄養面の解説や同町の案内も盛り込んだレシピの冊子が出来上がった。


 会ではまず、同町の道の駅の管理など同町の活性化を目的に設立された企業、素敵な過疎づくり鰍フ森稔彦・事業推進室室長が「人口約3600人と少子高齢化が進む中、愛知学院大学とは連携9年目になりその間に多くの協力を得た。昨年度は交流ができなかったが、レシピ考案の話を受けうれしかった」とあいさつ。その後学生から「子供たちが自分で作ったら苦手な野菜も食べられるだろうと思い、一緒に調理を手伝えるコロッケを考えた」「スポーツをする子にとってはお菓子よりもコメを使った方が栄養価が高いのでおはぎを考案した。簡単なのでぜひ作ってほしい」といった紹介が行われた。そして各担当教員からも発表があり、「冊子を通して愛知の人たちが厚沢部の食材を知り、食育活動が進んでいけばこの活動が生きてくる」(酒井元教授)、「スポーツをする子だけでなく成長期の子にも活用してほしい」(森講師)、「ここで終わりではなく、この冊子に込められた生産者の思いをもっと広げていこうと思った」(堀内准教授)とそれぞれ語った。


 発表を受け、同町の生産者からは「コロナが落ち着いたら、密にならず自然を満喫できる厚沢部に来てほしい」「掲載されている料理を早速作ってみた。今まで使ったことのない材料を入れたが、おいしくてとてもいい経験になった」「せっかく考えてくれたメニューをあまり公開しすぎると他の人に盗まれやしないかと心配になる」などの感想が聞かれた。同大学では今後9月に、現地交流の形でのアウトキャンパス事業を予定している(中止の場合あり)。


学生たちが同町の生産者と オンラインで交流


学生が自ら考案した料理を紹介 (画像を一部加工しています)

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