こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



Pick up!

TOP >> Pick up!

記事2021年9月13日 2555号 (6面)
大阪経済大学の取り組み
ひきこもり支援「ぽーとぴあ」活動中
「オンラインなので気軽にしゃべって」

 大阪経済大学(大阪市東淀川区)では、井逸史・人間科学部教授が中心となってオンラインによるひきこもり支援活動を行っている。研究活動の中で過去にひきこもり経験がある支援者と知り合い、その後コロナ禍をきっかけに開始した。通常は有料だが10月にはひきこもり当事者(本人)限定で無料の相談も行う予定となっている。


 井教授は運動により介護が予防できるなどといった健康づくりへの研究を行っており、現在はコロナ禍に関連した健康寿命延伸のためのまちづくりをテーマに活動を実施している。2019年、中高年のひきこもり当事者を対象にした身体活動増進プログラムの効果の検証を行う際に若手の人材が必要となってきた。そうした中、自身も数年間ひきこもりの経験があり現在は「ひきこもり支援相談士」の資格を有し当事者同士が気軽に集まれる自助グループを主宰する中谷信哉さんと出会う。後に井教授が行った高齢者のウオーキングイベントに若手の中谷さんがスタッフとして参加、交流が深まっていった。「中谷さんの活動を見ていたら当事者のみんなが生き生きしていた。『元気なひきこもり』『楽しくひきこもる』というスタイルにとても共感した」と井教授は当時の印象を語る。


 そして今年2月、コロナ禍でさらにひきこもりが増加することを懸念して、中谷さんのグループが発展する形でオンライン相談組織グループ「ぽーとぴあ」を設立。「仲間が気軽に立ち寄れる港のような存在に」との思いから名付けられ、中谷さんはじめ5人のひきこもり経験者が相談員、井教授や当事者の保護者らがスタッフとなり、ズームを使って相談に応じる。保護者からの相談も多くあるなど幅広く利用されているほか、「オンラインのため、大学がある関西地区だけでなく全国から相談が寄せられている」(井教授)とのことである。


 1回60分間で相談を受け付けている。通常は1回3千円(当事者・経験者は2千円)必要だが、10月1〜31日は当事者に限り無料で1回相談が受けられる。「オンラインなので、自宅などから何でもいいので気軽にしゃべってもらえれば」と井教授は呼び掛けている。詳細は「ぽーとぴあ」のサイト(https://portpeer.com/)にて。


井教授(中央上)、中谷さん(左上)ほか「ぽーとぴあ」のメンバー

記事の著作権はすべて全私学新聞運営委員会に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞