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記事2021年9月23日 2556号 (5面)
安田女子中学高等学校
リアビズ 高校生模擬起業グランプリ
融資30万円で模擬起業(折り鶴再生紙使用)

 安田女子中学高等学校(川本有美校長、広島県広島市)のSTEAMコースの1年生6人が、「第2回リアビズ〜高校生模擬起業グランプリ」(認定特定非営利活動法人金融知力普及協会主催)に応募、県内で唯一第一次審査を通過した。この模擬起業には全国49チームから10チームが第一次審査を通過している。生徒6人は開業資金30万円の融資を受け、「アカイカンナ」を模擬起業して、折り鶴の再生紙を使ったオリジナルブックカバーを制作する。


 リアビズは高校生が自分で考えたビジネスプランを基にネットショップを運営するプログラム。


 生徒たちが起業したきっかけは、世界中から広島に毎年贈られてくる折り鶴だった。


  「折り鶴は年間約10トンにも及び、年4回焼却処分されることを知りました。たくさんの平和への思いが込められた折り鶴をただ燃やして終わってしまうのは、もったいないと思い、この問題に貢献してみたいと考えました。そして、折り鶴再生紙『平和おりひめ』を使ったブックカバーを制作して、多くの人に届けることで、折り鶴に込められた平和への思いを購入者へとつなげることができ、また、広島市の折り鶴処分の負担を軽減できると考えました。『平和おりひめ』とは木野川紙業鰍ェ広島市平和記念公園の『原爆の子の像』にささげられた折り鶴を再生紙によみがえらせたものです」


 また、社名「アカイカンナ」は原爆投下後75年間、草木も生えないだろうと言われていたにもかかわらず、その年の9月にがれきの中から咲いた一輪の花が、赤いかんなだったことに由来している。社名には、被爆後約1カ月で新しい命が芽生え、人々に生きる勇気を与えた赤いかんなへの思いが込められている。


 また、生徒たちがブックカバーを選んだ理由は「戦争が終わって76年がたち、私たちは戦争や平和について考える機会はどんどん少なくなっている気がします。しかし、学校の朝読書の取り組みなどで、日常的に本を読む機会はあります。この折り鶴再生紙のブックカバーを使ってもらって、普段の生活の中で『平和への思い』を少しでも感じてもらいたいと、考えています」


 現在、試作品を作ったり、SNSなどの広報活動をしたりして、11月のネットショップ開設に向けて準備をしている。


 同校のSTEAMコースは今年4月開設。企業や大学と連携して、チームで取り組むことが一つの特徴。正解のない問いに取り組み、「まずやってみる」「失敗を恐れず挑戦し続ける」ことを通して、新しいものを生み出す力や最適解を導き出す力を身に付けることを方針としている。


模擬グランプリに参加した生徒6人


商品サンプル

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