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記事2022年5月3日 2578号 (6面)
十文字学園の取り組み
数学の個別最適学習プログラム推進
計画に沿った自律的な学習に取り組む

 学校法人十文字学園十文字中学・高等学校(東京都豊島区)は4月から、数学の授業で生徒の理解度や習得度に合わせた個別最適学習プログラム「J―PALM(Jumonji―Personalize Active Learning Mathematics」を推進している。


 「J―PALM」は鰍kibry(東京都千代田区)のデジタル教材プラットフォーム「Libry」と、凸版印刷梶i東京都文京区)の小中学校向けデジタル教材「navima」、「教育系YouTuber葉一」の授業動画などを活用。数学の得手不得手にかかわらず、生徒が自ら立案した計画に沿って自律的な学習に取り組み、成功体験を積み重ねることで自己肯定感の醸成と学力向上を目指す。


 同校では、サイエンスパークの完備や、プログラミング講座の実施、東京薬科大学との高大連携協定締結による特別授業の実施など、STEM(科学、技術、工学、数学)教育に力を入れ、理工系分野を志向する女性の育成に取り組んでいる。基礎分野の数学では、習熟度別少人数制授業に加えて、数学講演会などを実施している。


 一方、一斉授業の現場では、数学の奥深さを知り議論する時間を十分にとることが難しい現状があった。


 そこで、同校はLibry、凸版印刷と「セルフモニタリング学習」推進協定を締結し、新たな数学の授業プログラムを共同設計した。授業を生徒一人一人の理解度、習得度に合わせて個別最適化し、効率化を図ることで、数学的な探究活動の充実を実現するという。


  「J―PALM」は「Libry」を活用し、個別最適学習を支援する。問題演習でつまずいた生徒は「navima」で小学校の単元にさかのぼって学習し、早い進度で学習できる生徒は高校内容の先取り学習に取り組む。定期的なチェックテストで知識・技能の習得度合いを確認する。


 教師は教師用ツール「LibryforTeacher」で、生徒の学習の進度や理解状況をデータで把握し、つまずきの解消や個々に応じた学習支援を実現。Teacher(教える)だけではなく、Facilitator(促進する)として生徒をサポートしていく。


  単元学習の初めには目標設定と計画書作成を行う。学力や希望進路に応じた計画を作り、修正を繰り返して自己調整力を養う。自身に合った計画を進め、自己肯定感と目的意識の醸成を促す。


 導入部分では、数学に苦手意識がある生徒も興味を持つことができる授業を行う。発展・活用・まとめ部分では、日常のさまざまな課題を数学的視点から考察し、そこで得た気付きをプレゼンテーションで他者と共有するなど、思考力、判断力などを養う学習体験を提供して「数学を好きになる授業」を実施する。 


  同校の横尾康治校長は「生徒が自分の学力に合わせた進度と深度で主体的に学び、教師が好奇心をくすぐる授業展開を実現する」と意欲を示す。


 Libryの後藤匠代表取締役CEOは「生徒が自由なペースで自律的に学習することを促進するために、先生が役割を変え、ICTツールを活用するなど、日本の学校教育で新しい挑戦が行われる」としている。


 凸版印刷教育事業推進本部の菊地尚樹本部長は「学びに向かうために必要な意欲・能力の育成と、教室にいる子供たち全員が主役の授業を実現するために尽力している先生をサポートする」と話す。


(左から)菊地本部長、横尾校長、後藤代表取締役CEO

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