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記事2001年1月3日 1号 (16面)
21世紀は私学の時代 国民の期待は私学に
国・地方自治体も私学に大幅な支援を
二十一世紀の幕開けを迎えて、近く誕生する中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)が、次代の教育のグランドデザインを描く予定だが、そこでは教育基本法の見直しと並んで教育振興基本計画の策定が大きな焦点といえる。欧米の主要先進国に比べて教育への公財政支出が少ない我が国の財政構造に変革をもたらせるのか、先進国の教育事情との比較から考えてみた。
学生、生徒1人当たりの学校教育費 教育にかける公財政支出の割合
日本、アメリカ合衆国、イギリス、フランス、ドイツの先進五カ国間で、一般政府総支出における公財政支出学校教育費の占める割合を比較してみると、日本は一〇・二%(一九九七年)で、フランス、ドイツを上回ったものの、アメリカ合衆国(一四・五%、一九九五年)、イギリス(一〇・九%、一九九五年)には及ばない。 また上の表にある通り、国民総生産(GNP)に占める公財政支出学校教育費の割合に至っては、初等中等教育では、日本が五カ国中四位、高等教育では五カ国中最下位との状況だ。 日本の初等中等教育、高等教育の比率は、それぞれ二・八%、〇・七%だが、アメリカ合衆国のそれは三・九%、一・一%で両国間の隔りは大きく、我が国の高等教育機関が国際的競争力を失いつつある背景ともなっており、昨年末に最終報告をまとめた教育改革国民会議(森総理の私的諮問機関)が教育振興基本計画を策定して教育への公財政支出を思い切って増加せよと提言したことに結びついている。 学生一人当たりの教育費で公財政支出額をみると、我が国の国公立大学は約四百万円と米国の州立大学の約百七万円を大きく上回っているが、私立大学の公財政支出額は約十六万円と信じがたいほどの格差となっている。我が国の高等教育の大半を占める私立大学等への公財政支出増なくしては、二十一世紀における我が国の発展は望めないのではないか。 初等中等教育においても事情は同じである。高校では保護者の負担する教育費の公私間格差は全国平均で約六倍にも達している。我が国の中等教育上、量的に約三割を占め、質的には常に先導的な教育にチャレンジし、各界で優れた人材を輩出している私学の存在を考えた時、政府や地方自治体がこれだけの公財政支出額の格差を現状のまま放置しておく理由は見当たらないのではないか。
授業料等学校教育費の負担区分 学校独自の財源、国・地方自治体の公費
円グラフにある公財政支出学校教育費とは、初等・中等教育にあっては、公・私立の小、中、高校、盲・ろう・養護学校の教育費のうち公費負担分で、また高等教育にあっては、大学、短期大学、高等専門学校の教育費の公費負担分。国公立学校の場合、授業料等に当たるものは、この公財政支出学校教育費に組み込まれている。 一方、学校独自の財源による教育費は、私立学校の場合、その大半が学生等納付金のこと。我が国の公立(初等・中等教育)にわずかにあるのは、公費に組み入れられない寄付金のことを指す。 ※参考資料=『教育指標の国際比較(平成十一年版)』(文部省) ※集計の仕方の関係でグラフの%の合計が100にならないものがある |
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