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記事2001年10月23日 27号 (1面) 
大学教育と就職支援 私大連盟報告書
学生の就職に教員の一層支援
8割の学長が体制充実望む
 日本私立大学連盟(奥島孝康会長=早稲田大学総長)加盟大学の学長の約八割が学生の就職支援業務にもっと教員が大きな役割を果たすべきだと考えていることが、同連盟がこのほどまとめた報告書『大学教育と就職支援大学の変革に向けて』で明らかになった。また、かなりの数の学長が、学生のキャリア・ディベロップメントを意識したカリキュラム改革の必要性を痛感していることも報告されている。
 長引く不況で、企業の求人マインドが冷え込んでおり、新卒大学生への求人数は削減される傾向にあるが、そうした中、多くの学長が学生への就職支援体制をさらに充実させたいと望んでいるようだ。
 この報告書は、同連盟の就職委員会(栗田健担当理事=明治大学総長、山野上素充委員長=関西学院大学就職部長)が今年三月に行ったアンケートの結果を踏まえ、就職問題の現状と課題、大学生の就職を取り巻く外部経済環境の変化の分析、今後の大学の就職支援の在り方などについて分析している。アンケート調査は同連盟に加盟している百二十一大学のうち、百八大学から回答を得た。
 調査結果では、就職支援活動全般の方向性について、学長の八七・四%が現在より力を入れるべきだと回答。その就職支援活動の中で、就職担当職員が現在よりも大きな役割を果たすべきだと考えている学長は七二・六%。同様に、教員についてもより大きな働きを期待している学長が八〇・〇%という結果になっている。

教員職員情報交換密に 教授会との橋渡し

 こうした結果を基に、報告書では、教員による就職支援の今後の方向性として、六点を指摘している。
 (1)就職担当職員との情報交換を密に行う(2)教員が就職ガイダンスの企画・運営に積極的に関与する(3)各学部から最低一名以上の担当教員が学生との個別相談に当たる(4)就職・進路委員会の構成メンバーの教員が学部教授会との「橋渡し」の役割を担う(5)キャリア教育科目を正規カリキュラムに位置づけするなど、カリキュラムを社会ニーズに合ったものに変える(6)教員が自らの授業で進路選択を念頭に置いた教育を行うというもので、教員が学生の就職問題についてもっと深い問題意識を持って取り組むことを求めている。
 このほか、報告書では企業が求める人材像の変化についても触れており、企業はすぐに仕事ができる即戦力を求めているのではなく、学生には論理的思考能力とコミュニケーション能力を求めていると分析。「ものを考える能力を磨く」という、大学本来の目的を実現することこそが最も有効な就職対策であると指摘している。

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