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記事2001年10月23日 27号 (3面) 
都立高校の入試改革 (上)
学区制を完全撤廃へ
長期的な凋落がその要因
 都立高校の平成十三年度入学試験は、公立高校では初めての独自作成の入学試験を実施した都立日比谷高校、新しいタイプの学校として開校した都立世田谷泉高校や都立科学技術高校など話題の多い入試だった。
 全日制都立高校一九七校が三万四千四百十八人を募集、四万三千五百十四人が受験、三万五千六百六十九人が合格し、実質倍率は一・二二倍となった(前年度比〇・〇一ポイント減)。日比谷高校は一・一五倍、世田谷泉高校は四・五六倍となった。
 東京都教育委員会が都立高校の改革に具体的に乗り出したのは、平成九年九月に「都立高校改革推進計画」を策定したのに始まる。
 また、「都立高校間に適正な競争原理を導入する」という都知事の意向を受け、「学区制」の見直しも行われた。これには昭和四十二年度から五十六年度まで実施された「学校群」制度によって、都立高校が長期的な凋落を続けてきたことが要因の一つとして挙げられる。
 都教育委員会は九月十二日、十五年度入試から都立高校の学区制を撤廃することを発表した。今年七月に「東京都立高等学校学区制度検討委員会」(高倉翔委員長=明海大学長)から都教育委員会教育長に出された答申で、残されていた島しょの学区についても廃止する。都道府県レベルでは、公立高校の学区制の撤廃は都が初めてとなる。
 東京都の学区制制度は以前から弾力化されてきており、十三年度入試では昨年七月の同検討委員会の中間答申を受け、推薦、一般選抜とも他学区からの入学者限度枠の上限を五割とし、各学校が他学区入学者選抜を三割、四割、または五割のうちから選択することとしていた。
 “都立高校の復権”を目指し、学区制の廃止に踏み切ったが、都立高校同士の競争が進み、定員割れの学校も出てくることも予想され「都立高校の中堅校はスクラップ化」していく可能性がある。


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