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記事2001年3月23日 8号 (2面) 
厳しさ増す財政 学生納付金に依存
平成11年度 加盟大学財務状況 私大連盟調査結果
超低金利受験者減納付金比率71.9%
資産運用、手数料収入も低下
 日本私立大学連盟(奥島孝康会長=早稲田大学総長)はこのほど平成十一年度における加盟大学の財務状況を調査し、取りまとめた報告書「加盟大学財務状況の概要」を公表した。
 この報告書によると、帰属収入に占める学生納付金の割合は年々高まる傾向にあったが、十一年度では七一・九%となっていることが分かった。
 超低金利の影響を受け、資産運用収入もピーク時の約三割に激減しているうえ、受験者数の減少が響いて手数料収入も低下、納付金へ依存せざるを得ない私立大学の厳しい財務状況が明らかになった。
 十一年度における同連盟の加盟大学百二十校の帰属収入合計(大学部門のみ)は一兆三千七百九十五億円(前年度比二・九%増)。ここから基本金組入額合計を控除した消費収入の部合計は一兆千二百五十五億円(〇・六%減)、消費支出の部合計は一兆二千七十億円(二・三%増)。消費収支差額は支出超過が前年度の四百七十億円から八百十五億円に拡大した。
 これは前年度に比べて基本金組入額の増加が帰属収入の増加を大幅に上回ったため、消費収入が減少したにもかかわらず消費支出が拡大したことによる。
 帰属収入のうち学生納付金収入は九千九百二十二億円と、前年度に比べ二・六%の増加。帰属収入に占める割合は七一・九%となった。二年度の帰属収入に占める学納金の割合は六一・二%だったから、この九年間で一〇%以上割合が上昇し、学納金に対する依存度が年々強まっていることが分かる。
 手数料収入は平成三年度の七百五十六億円をピークにして年々減少する傾向にあり、十一年度は五百七十六億円と、前年度比で二十八億円の減収となっている。平成二年度を一〇〇とした場合の連盟加盟校志願者数は、十年度七一・九、十一年度七〇・五と低下しており、入学検定料収入の減収につながった。少子化や経済不況の影響を受けた形だ。
 寄付金収入は隔年で増減を繰り返しており、十一年度は前年度より六十二億増え五百五十六億円に。
 補助金収入は前年度比三十五億円増の千六百四十七億円。
 ただ、情報化基盤等施設設備など重点項目分野への補助金は年々拡大傾向にあるが、私立大学財政の根幹を支える私立大学等経常費補助金は十一年度では三千六億五千万円で、私立大学等の経常的経費二兆五千百八十八億円に対する割合は一一・九%と、前年度とほぼ同じだった。
 資産運用収入は三百十億円と、前年度に比べ八十二億円(二〇・八%)の大幅な減収となった。平成二年度に六・〇〇%であった公定歩合が七年度には〇・五〇%にまで低下し、超低金利状態が続いており、資産運用収入の増収が見込めなくなっている。
 私立大学は運用資産や基金などの運用果実が収入の大きな柱となっているだけに深刻な状況だ。
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