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記事2001年3月3日 6号 (7面) 
新校長インタビュー (19) ―― 女子学院中学校高等学校
院長 田中 弘志氏
生徒の自主性を尊重
人の痛みのわかるエリートに
 女子学院中学校高等学校(東京都千代田区)の田中弘志院長(校長に当たる)は「キリスト教の精神を土台に置き、毎朝、全校生徒によって守られている礼拝、聖書の授業などを通して人間教育を行っています」と教育方針を語る。
 「学校で学ぶ知識も大事ですが、この知識を他人のためにどのように生かしていくか、人間にとって何が大切なのかを学ぶことがもっと大切なのです」
 女子学院は中高一貫教育のなかで、週五日制の、質の高い授業を実施しているが、単なる大学進学を目的とした学習ではなく、生徒自身が学ぶこと自体に喜びを見いだし、意欲的に学習に取り組んでいる。また、制服や細かい学校規則がなく、生徒の自主性を尊重する校風をもっている。
 「部活動や文化祭、体育祭などの学校行事は生徒の自発的な計画と参加によって大変活発に行われています。生徒は六年間でさまざまな体験を通して自分を高めていくと思います」
 田中院長は最近の世の中で、多くのことが専門的になり過ぎていることに警鐘を鳴らす。
 「あまりにも専門的になり過ぎることは全体が見えなくなってしまう危険性があります。そして、人間性まで見えなくなります。専門を極めることは大事ですが、それと同時に自分が今全体の中でどこにいるのかを把握していることがさらに重要なのです。これからは統合の時代です。ですから高校生には幅広い教養を身につけてほしいのです」
 女子学院は明治三年、アメリカ長老教会から派遣されたミセス・カロゾロスが女性徒に英語の授業をした私塾に始まる、わが国で最も古いキリスト教による女子教育を行っている。
 昨年、創立百三十周年を迎え、田中院長は式典で「祈りながら、神のみこころを探りつつ、今与えられている学校生活をさらに豊かなものにしていくように努力することが私たちの責任でもあります」と、式辞を述べた。
 「知性と人間性の両方を兼ね備えていることが重要です。科学の進歩のみでは人間は幸せになりません。知性とともに人間性豊かな心をはぐくまなければなりません。生徒には人の痛みが分かる本当の意味でのエリートになってほしいです。私は一人ひとりの持つ豊かな可能性を花開かせてやる、その道筋を手伝ってやるのが使命と思っています」と生徒に期待をかける。
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