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記事2001年5月3日 12号 (1面) 
教員の組織編成弾力化
教員資格で教育能力重視
大学設置基準等の一部改正
文科省が省令通知
 文部科学省は三月三十日、小野元之・文部科学事務次官名で、大学設置基準の一部を改正する省令を全国の国公私立大学長らに通知、同日から施行された。今回の改正では、(1)柔軟で機動的な教育研究を進めるために、講座などの組織編制の弾力化を図る(2)教員の教育能力を従来以上に重視する観点から教員資格を見直す(3)情報通信技術の活用の観点から、遠隔授業の在り方および国境を越えて提供される教育の在り方を見直すの三点をねらいとして制度改正が行われている。

外国の授業履修可能
短大学科の設置審査も簡素化

 教員の組織編制に関してはこれまで、学科目制または講座制を設け、これらに必要な教員を置くものとする、とされていたが、大学がこれらにとらわれず適切に組織編制ができるようになった。
 教員資格については、大学で教育を担当するにふさわしい教育上の能力を持っていることを要件とし、教育上の能力重視を明確にした。また、外国の大学における教員としての経歴を国内における経歴と同様に扱うこととした。助教授に任用する場合の資格要件であった助手等の在職年数の規程についても、年数は問わないこととされた。
 遠隔授業の在り方の見直しに関しては、大学は学生に授業を外国で履修させることができることが新たに大学設置基準の中に書き加えられた。多様なメディアを利用して教室以外の場所で授業を履修させる場合も同様。
 今回の改正は短期大学設置基準、高等専門学校設置基準についても行われており、短期大学と高等専門学校ともに同様の制度改正が図られている。このほか、外国の大学や短期大学が行う通信教育による授業を学生がわが国で履修して修得した単位について、大学は六十単位を上限としてその大学で履修したものとみなすことができるとした。二年制の短期大学と高等専門学校では三十単位を、三年制の短期大学では四十六単位を、それぞれ上限としている。これに関連して、大学通信教育設置基準、短期大学通信教育設置基準も一部改正され、通信教育を行う大学、短期大学も同様に、外国で授業を履修させることができるとする項目が新設された。
 同日には「大学の設置等の認可申請手続等に関する規則」の一部改正、「私立学校法施行規則」の一部改正を行う省令も通知された。いずれも四月一日施行。改正の趣旨は、短期大学が自らの責任で機動的に社会の変化に対応できるよう、短期大学の学科の設置認可の手続および審査の簡素化・弾力化を図る、というもの。既存の教職員組織を基に、収容定員の増加なしに他の学科を設置する場合の認可申請期限について、これまで開設年度の前年度の四月三十日とされていたものが、開設年度の前年度の十月三十一日と改められた。これに伴って、大学設置・学校法人審議会大学設置分科会の審議スケジュールが変わり、申請受付時期が三月、五月、七月、十月で、諮問・審査・答申はそれぞれ二カ月後となった。

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