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記事2001年7月3日 17号 (2面) 
国大協が法人化枠組み案
国立大学協会(長尾真会長=京都大学長)は、設置形態検討特別委員会が中心となって法人化の枠組みについて検討を続けてきたが、六月十二日に開いた総会で同委員会がまとめたこの枠組み案を基本的に了承した。この案では法人組織と大学組織とを分離することなく国立大学を一大学一法人として法人化、大学の教職員の身分は国家公務員型を基本とする、などとなっている。

一大学一法人で法人化
教職員は国家公務員型を基本に

 組織編成、財務、人事については、国立大学の自主性・自律性を拡大するという法人化の趣旨に合致するよう、原則として国立大学が自分たちで決めることができる、とした。組織運営面では、学長を中心とする執行部体制を強化し、大学の管理運営の責任体制を明確化している。役員会は法人の長である学長、副学長、学長が指名する役員によって構成し、学長が統括する法人の執行機関という位置づけになっている。こうした学長の責任とリーダーシップの重さから、評議会が行う学長の選考にあたっては、外部者の意見を反映させる。また、法人化後の大学の管理運営の責任体制のアカウンタビリティーや社会の要請に応えるという観点から、評議会だけでなく運営諮問会議も学外有識者の役割を強化する方向で見直す。
 財務面では、科学研究費をはじめとした競争的研究費の拡充を図る一方、国は各国立大学法人が立てた中期計画などを基礎として運営費交付金を措置するとしている。運営費交付金は政策的運営費交付金と外形標準的に決まる基盤的運営費交付金とによって構成。基盤的運営費交付金の算定は、収入と支出の両面で各国立大学法人の業務内容、財務構造、規模などの違いが反映される方式で行うとしている。土地建物に関しては現在使用されているもの、今後新たに整備されるものを国が各法人に現物出資するという形をとる。
 教職員の身分は国家公務員型を基本としつつも、非公務員型の可能性も含め、今後の人事制度の設計の過程で最終的な結論を出す、とした。教員の任用にあたっては任期制・公募制を積極的に導入、教員の兼業兼職に関する規制も緩和する。給与体系についても教職員の潜在的な能力が発揮されるように、個人の成果・業績を評価するための制度を設けて、それらが反映できる給与体系を導入する。
 国大協はこの枠組み案を国立大学が自ら競争的環境を実現し、自主性・自律性とともに自己責任を明確にする改革を行う決心をしたものだと評価。社会の意見を反映する仕組みを持たない独立行政法人通則法に比べ、はるかによい制度設計であるとしている。

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