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記事2001年7月3日 17号 (9面) 
新校長インタビュー (30) ―― 嘉悦女子中学校・高等学校
校長 嘉悦 克氏
これからは学校教育中心
家庭と連絡密に、社会教育補う


 嘉悦学園は二〇〇三年に創立百周年を迎える。嘉悦克・嘉悦中学高等学校(東京都千代田区)長は「本校の伝統と歴史を堅持するとともに、社会の変化に学校がどのように対応していくかということが問題だ」と、百周年に向かっての心境を語る。
 「私立学校は各校が建学の精神を基に独自の教育を行っているが、保護者は自分の教育方針に合った学校を選ぶ権利がある。これに対し、私立学校は保護者が満足する学校を考えなければならない。これが日本の教育のためにも必要だ」
 嘉悦校長は人間としての基本を教えはぐくむ「家庭教育」、社会とのかかわりの中で対人関係のルールを学ぶ「社会教育」、それに知識と教養を身につけ共同生活、団体生活を実践する場である「学校教育」が本来、役割を分担しながら連携してきたのが日本の教育の姿だったが、これからは「学校教育」が中心になっていくという。
 「社会情勢の変化や、特にわが国では住宅事情もあり、『社会教育』の機会が失われ、価値観、家庭環境の多様化などにより『家庭教育』『学校教育』もそれぞれ機能しなくなっている。日本のそして世界の将来を担う子女の育成のためには、家庭と密接な連絡を取りながら学校が責任をもって生徒の面倒を見、その上で『社会教育』を補っていくことが必要だ」
 そのために同校では「怒るな働け」の校訓を基に取り組んでいることがある。その一つとして、今年度から専門のカウンセラーを常駐させ、生徒や保護者の多くの相談に対応している。
 また積極的な意味で五日制を利用していく、「授業隔週五日制・学校六日制」を実施している。授業のある土曜日は生徒の能力のボトムアップとレベルアップを図り、残りの土曜日は「家庭教育」や「社会教育」との接点をつくるため、保護者と生徒が一緒に参加できるようなことを考えている。
 今から二年前、横浜のある高校でいじめによって自殺した生徒が作った詩に両親の友人が曲をつけた。生きていたあかしを残そうと、両親と彼女に縁のある人たちの協力で作られた。曲名は「窓の外には」。嘉悦女子中学高校のマーチングバンドESTEAM(エスティーム)は今月二月、第三回定期演奏会でこれを初演、これがきっかけでNHK首都圏ネットワーク、NHK特報首都圏、また六月二十五日にはBS7チャンネルで全国放送された。

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