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記事2002年10月13日 1864号 (4面) 
苦しい財務運営自助努力で改善
日短協が経理事務担当者の研修会
高等教育改革の動向石井・文科省参事官講演
杉田事務局長私立短大の諸問題中心に状況報告
日本私立短期大学協会(川並弘昭会長=聖徳大学短期大学部理事長・学長)は十月九日から三日間、大阪市淀川区の大阪ガーデンパレスで「平成十四年度私立短大経理事務等研修会」を開催した。この研修会は短大を設置している学校法人の経理事務等担当者の技能水準の向上などを目的に開かれているもので、今回は全国から約三百七十人が集まった。初日の午前は文部科学省高等教育局私学部の石井稔参事官が高等教育改革の動向について講演したほか、日本私立短期大学協会の杉田均常任理事・事務局長が私立短期大学をめぐる諸問題について状況報告を行った。
 研修会の開会に当たって経理研究委員会の宇田正長委員長(東洋女子短期大学理事長)は「十八歳人口の逓減の中、私立大学の財務はだんだん厳しくなっている。学校法人の管理運営に努力しなければならない」とあいさつし、研修会への積極的な参加を呼びかけた。石井参事官は短期大学の将来像について、文科省にも短大「起死回生」の妙案があるわけではないと指摘。短大を大学の中の二年制課程として位置づけるという構想については施策に移すとなると難しいとの見方を示した。そのうえで、社会的変化に対応し、現実を見据えつつ、自助努力すべきだと強調した。中教審の答申「大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について」は設置認可の在り方を事前規制型から事後チェック型への転換を図るものだとし、設置後の第三者評価は厳格にするものの、適格認定されなかったから行政処分を行うことはない、などと説明した。法令違反状態の大学に対する是正措置に関しては、このケースがこの法令に違反するというように、今年中には規定化し、マニュアルを作成したいと述べた。私立大学の経営支援に関しては、各学校法人の経営基盤強化に向けた取り組みを支援するための基本的な施策について協議する「私立大学経営支援連絡協議会」を文科省、日本私立学校振興・共済事業団、私学団体の三者で設けたと述べた。実際に学校法人が経営破綻した場合、経済支援を行うことは想定しておらず、当該大学の学生をどう他の大学に転学させ、段階的に学生を卒業させて閉学するかが焦点になるとした。経営分析を行ったうえで、経営が立ち行かなくなった時には、〈体力〉のあるうちに名誉ある撤退を考えるべきだと述べた。学校法人のガバナンス機能の強化についても言及し、これの強化をしないと、今後の学校法人の運営がままならなくなるとして、大学設置・学校法人審議会学校法人分科会で監事機能の強化と財務情報の公開について検討していくとした。監事機能の強化については現状では理事会に対して経営方針に関する意見申し立てを実際に行っているのか疑わしいとし、財務情報公開については公開する対象とその方法が検討課題になると指摘。来年六月までにはその結論を出すとした。
 杉田事務局長は中教審が八月に答申が公表されたことを受けて、十八日から開催される臨時国会に学校教育法等の改正案が上程される予定だが、文科省令の改正についてはまだ検討に入っていないと状況を報告。施行は十六年四月一日からとなる見通しだとした。日短協では「短期大学振興特別委員会」で学位の分野の大くくり化について議論していくと述べた。また、地域総合科学科については、文科省からその推進が促されており、短期大学基準協会がこれらの学科の認可後に適格認定評価を実施していることを紹介した。十五年度私学関係政府予算概算要求については、従来ODA予算の中に組み込まれていた留学生関係の予算を新規に「グローバル化の推進」として個性化推進特別経費の中で六十一億一千万円要求することになったことなどをポイントとして挙げた。

経理事務等研修会には約370人が参加

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